パワーユニット(PU)の規則が大きく変わる2026年シーズンは、まだテストも始まっていない段階からエンジン圧縮比に関する規則の抜け穴が話題になるなど、既に盛り上がりを見せている。これを受けて、1月22日には専門家による会合が行なわれるという。
内燃機関の圧縮比、つまり燃焼室内の最大容積と最小容積の比率は、従来の規則では18:1だったが、2026年からは16:1に引き下げられる。圧縮比が高いとメーカーにとっては扱いづらさもあるため、この引き下げ措置はPUメーカーがより参入しやすい規則にするといった意味合いもある。
論争が生じたのは、メルセデス、そしてレッドブル・パワートレインズが、静的テストでは規則を満たしている一方、実走行時(つまり高温状態)ではより高い圧縮比を実現できる可能性があることが明らかになったためだ。
テクニカルレギュレーションでは、FIAによる検査は静的な状態かつ周囲温度の下でのみ行なわれると規定されている。当該のC5.4.3項は「いかなるシリンダーも、幾何学的圧縮比が16.0を超えてはならない。この値を測定する手順は、FIA-F1-DOC-C042のガイダンス文書に従い、各PUメーカーが定め、周囲温度下で実施される。この手順はFIA技術部門の承認を受け、PUメーカーのホモロゲーション書類に含められなければならない」という文言となっている。
この規定を満たしつつ、走行中により高い圧縮比を実現しているメーカーは、「自分たちはあくまで規則の範囲内で運用している」と主張することができる。
一方で、アウディ、フェラーリ、ホンダといった他のメーカーは、「F1マシンは、競技期間中のいかなる時点においても、これらの規則を完全に遵守しなければならない」という別の条文を根拠に反論ができる。圧縮比16:1が明確に規則に記載されている以上、走行中もそれが守られるべきだ、ということだ。
FIAは短期的には、現行の検査方法、そして規則文言を維持する構えのようだ。ただし、必要に応じてこれらを将来的に変更する可能性を残している。
この問題は、バルセロナでの非公開プレシーズンテストの初日を前にした1月22日に再び議論される予定。この日に専門家による会合が開かれるという。
FIAの広報担当者はこう述べている。
「これまでの新レギュレーション導入時と同様に、2026年仕様のパワーユニットおよびシャシーに関する議論は現在も継続中である」
「1月22日に予定されている会合は技術専門家同士で行なわれる。FIAとしては、すべての参加者が規則を同じように理解し、同じように適用しているかを確認するため、状況を注視している」
FIAはmotorsport.comに対し、この会合は以前から計画されていたものであり、エンジンの抜け穴問題だけを目的としたものではないと説明している。会合の議題となる範囲はより広く、新しいシャシー規則も含まれるが、圧縮比が最大の注目点になるのは自然な流れだろう。
往々にして、潜在的な抜け穴を見つけたチームは、それが合法だと考え、他方では少なくとも長期的な視点での明確化を求めてロビー活動を行なう。現時点でFIAが介入していないことからも、シーズン開幕前に大きな変更が行なわれる可能性は低い。変更があるとしても、2027年に向けたもの、もしくは早くても夏休み前後に向けた変更になるだろう。
とはいえ、規則にはすでに“ADUO”と呼ばれるセーフティネットが用意されている。これはエンジン面で後れをとっているメーカーに追加のアップデート機会を与えて救済する仕組みである。
しかしながら、圧縮比の調整は簡単な話ではない。アップデートが認められていたとしても、技術的には非常に複雑な作業となる。だからこそ、アウディ、フェラーリ、ホンダは、測定手順の調整、あるいは少なくとも将来に向けた最大圧縮比の明確化を強く求めているようだ。

