東京オートサロンのホンダブースには、スーパーGTに参戦したNSX Concept GTが、カラーリングを変えて展示されている。この車両、実はレーシングシミュレータである。
ホンダ・レーシング(HRC)は昨年11月、SIM-01と名付けられたドライビングシミュレータを、限定10台で発売した。この筐体は、ホンダ・レーシングスクール鈴鹿(HRS/旧名称SRS)で使われていたスクールカーの実物のモノコックを使用して仕立てられたもの。販売価格は1000万円(税別)であった。
このSIM-01に続いてHRCが開発したのが、実際のスーパーGTで使われていたNSX Concept GTをシミュレータに転用してしまったSIM-02である。現役当時からカラーリングは塗り替えられているとはいえ、内外装は実際のスーパーGTマシン。乗り込むのもひと苦労であるが、180cm超の身長でも、多少横幅が広い方でも、頑張ればシートに収まることができる。
ドアを閉めれば、レーシングカーに乗っている雰囲気そのもの。フロントガラスがモニターに置き換えられており、没入感は半端ではない。また装着したネックスピーカーを介して指示を受けると、まさに無線交信そのもの。レーシングドライバーたちがレースを戦っている時の気分の一端を感じさせるには、これ以上ない筐体であると言えよう。
ただこのSIM-02は、SIM-01のように「モノコックを転用した」というだけではない。実はエンジンも搭載されているままであるという。
退役したレーシングカーを展示したり、別の用途に転用する際には、エンジンやギヤボックスを取り外し、代わりに構造物を構築して、そこにホイールなどを取り付けるもの。しかしこのSIM-02はエンジンをそのまま搭載……一体なぜ?
「エンジンやギヤボックスを外してしまうと、ホイールを取り付けるのが大変ですから……なので、ホイールを取り付けるために、残してあります」
東京オートサロンでHRCの担当者は、そう説明してくれた。つまり、ホイールを取り付けるフレームを新たに構築するという手間を省いたためということのようだ。ただ、燃料やオイルなどは抜かれているという。
エンジンがそのまま乗っているということを知っていれば、レーシングカーに乗っているという雰囲気が、さらに増すことは間違いないだろう。
ちなみにこのSIM-02の開発担当者は、普段はF1用パワーユニットの開発に携わっているという。しかし趣味が高じてこのSIM-02の開発にも携わるようになった。ただ当然F1の新PUの開発は佳境。その合間を塗って、スーパーGTマシンをシミュレータ筐体に仕立て上げたという。ご本人は「部活のように」開発したというが、忙しい中大変なご努力だったことだろう。頭が下がる。
SIM-02は、SIM-01とは異なり、市販の予定はないという。ただ東京オートサロンの会場で試乗が可能。抽選は会期最終日となる1月11日(日)も、9:10、12:00、15:00の3回にわたって行なわれる予定。会場にお越しの予定がある方は、挑戦してみてはいかがだろうか?
東京オートサロンのホンダブースは、中ホールの4と5に跨がる格好で出展されている。

