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スキーシーズンのクマに関して、冬眠の実態とバックカントリーで知っておくべきこと

クマの冬眠

クマの主食はドングリ

クマはなぜ冬眠するのか? 

「冬眠は進化の過程でクマが生き延びるために獲得してきた「適応機構」。「餌がなくなる冬をどう乗り切るか」という生存戦略です。彼らは基本的に草食で草や木の実ばかりを食べています。冬になると餌がなくなるため、単に動かないだけではなくて、体温を下げて代謝を落とします。呼吸数や心拍数は通常の10分の1ぐらいまで極端に下げて、エネルギーの消費量としては10%ぐらい、極限まで抑えます。

クマは人間の睡眠とは全く違う生理機構のなかで眠っています。冬眠の間はまったく食べず、水も飲まず、排泄もしない。それでいて数ヵ月間はその状態を維持できる、深く静かな生命維持モード、それが冬眠なんです。

冬眠期間はだいたい11月下旬~4月初旬。年によって冬眠期間は前後しますが、今年はちょっと早目に冬眠しましたね。11月の上旬くらいに冬眠を始めた個体が多かったと思います」

坪田教授に話を聴いたのは12月26日のこと。思わずこんなふうに聞いてみたくなった。

―いまは、もうほとんどのクマは冬眠していると思っていいのでしょうか? 

「いまはもう99%くらいのクマは冬眠していますね。ただ、日本にはツキノワグマは約5万頭、ヒグマは1万頭くらい生息していますからね。そして個体差もあります」

―クマは一度眠ったら、冬眠が終わるまで、途中で目を覚まして活動したりすることはないのですか? 真冬でもちょくちょく起きてきて餌を探して動き回るようなことは……?

「それはまずないですね。ただ、今年はクマにとってはかなり厳しい年でした。秋のドングリ類がほとんどならなかったからです。冬眠する前に、彼らは4、5ヵ月ぶんのエネルギーを体脂肪として蓄えるんですね。

ですから、冬眠する前にどれだけ脂肪を溜め込むかというのは、ものすごく大事になってくるのですが、そのときの主食はドングリ。そのドングリがほとんどならなかったので、彼らは多分、今年に関しては体脂肪を十分につけていないと思います。
なので、もしかしたら早めに起き出すかもしれないし、真冬の間でも体脂肪がなくなると死んじゃいますので、そこまでいったら起きてくるかもしれないです。

冬眠しているクマがどれくらい体脂肪を蓄えているかは個体差もあり、実態はわかりません。我々も調査をしていて、秋口にクマを捕まえたんですけれど、やっぱりあまり太ってなかったですね。十分な餌を食べられていなくて、体脂肪をつけていないなと思いました。彼らはそのまま冬眠に入っていると思いますから、ちょっと厳しいかもしれませんね」

「基本的には草食」が破られるとき 

2025年はこれまで以上にこの類の看板や貼り紙を目にすることが増えた

2025年のクマ被害は、人が襲われて大けがを負ったり、死亡事故も過去最悪となった。ストレートに坪田教授に聞いてみた。

―クマはお腹が空けば、木の実以外でも、なんでも食べるのですか? 人に被害を与えるクマは、あまりにお腹が空いていて、その目的で人を襲うのですか?

「いえ、彼らは8~9割は植物のものを食べています。ホッキョクグマのように他の動物を捕食目的で襲うことはヒグマは基本的にはやらないんです。ただ、やはり彼らはもともと食肉類動物といって、肉を食べるように体はできているんですよね。なので、例えばですが、鹿の死体が落ちていたり、北海道であれば死んだイルカとかクジラがよく海岸に打ち上げられるのですが、そういうものがあれば彼らは好んで食べています。

なので、チャンスがあれば食べるんです。けれど、それを狙って殺すということは基本的にはしないですね。ただ、今年岩手県であったケースでは、積極的に人を襲って人の肉を食べていました。
ニュースでは言わないですが、草むらに引きずり込んでいたという行動は、すなわちそれはもう捕食していたということです。北海道の羅臼岳もそうでしたね。その前には道南の福島町では新聞配達の人が襲われたんですが、それも草むらに引きずり込まれたということで、食べられていましたね。

最初は食べるために襲ったわけではなかったと思うのですが、襲って人が死んだ後に食べてみたら、食べられた。最初はそうだったと思います。ただ一回そういうのを覚えてしまうと、2回目、3回目は積極的に人を襲うことになります。襲えば肉を食べられる、と彼らが学習をしてしまえば、そういうことも起こり得るんですね。岩手県では2人襲われたので、2人目は同じ個体に積極的に襲われたのだと思います」

こんなリアルな事実を耳にしてしまうと、背筋が凍る思いだが……。

「でも、そういう悪いことをする個体は、ほんのわずかです。だいたいの年は食害はゼロです。ですから、それは非常にレアケースかなと。ただ、潜在能力としては、そういうものを持っている動物だということはやはり覚えておいてもらったほうがいいと思います」

配信元: STEEP

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