
【あなたの脾臓は53点!?】時計で脈診までできる?最新“中医学”スマートウォッチが衝撃的…香港時計フェアで見つけた珍品が面白過ぎたの画像一覧
アジア最大級の時計展示会として、超高級ブランドから野心的な前衛ブランドまでがひしめいた「香港ウォッチ&クロック・フェア」と「サロン・ド・タイム」。 前回の記事に続いては、現地で見つけた「日本ではありえない!?」興味深い時計や素材をお届けします! 「内臓の点数がわかるスマートウォッチ」から「怪しげなOEM事情」まで、アジアの時計市場の熱気と混沌をレポートします。
前回記事:【香港の時計市場】アジアの時計事情がまるわかり!「香港ウォッチ&クロック・フェア」「サロン・ド・タイム」現地取材レポート!
「あなたの脾臓は53点」中医学で内臓までまるわかり!? 漢方の知恵が詰まった時計
世界中の完成時計を集めた「サロン・ド・タイム」において、異彩を放っていたのが香港の時計メーカー、デイトン社が手掛ける「Link2Care(リンクトゥケア)」でした。これは、香港時計業界の業界団体もバックアップするヘルステック系プロジェクト。その最新作としてお披露目されていたスマートウォッチ「WATCH2CARE(ウォッチ トゥ ケア) TCM」は、中医学の知見を取り入れているのが実にユニークでした。
時計自体は、アナログの針とデジタルの液晶モニターを組み合わせたハイブリッドタイプ。多くの人の好みに合うよう、多種多様なデザインが用意されていました。市場への展開はこれからで、6万円前後の価格で展開していく見込みのこと。
モデル名になっている「TCM」とは「Traditional Chinese Medicine」の略、すなわち中医学(中国伝統医学)。漢方薬や鍼灸、マッサージ、薬膳などを組み合わせて患者の体質や状態を見極め、気・血・水の流れを整えて自然治癒力を向上し、心身の不調を改善する医療のこと。日本でも西洋医学と並んで漢方や和漢方を利用していますが、中国においては中医学が身近な存在で、その知恵をスマートウォッチに取り入れようというわけです。
自身でモニタリングしているという担当者に、アプリ画面を見せてもらいました。一日の消費カロリーや歩数、睡眠時間、心拍数といったヘルスケアの指標は見慣れたものですが、その中に「TCM Report」という変わった項目が。詳細を見ると、「脾臓」「肺」「腎臓」「肝臓」などと、内臓ごとにスコアがつけられていました。日常生活で「今日の脾臓はどんな調子かな?」などと考えたことはなかったので、新しい洞察を得た心地です。
各内臓ごとの状態を計る「TCM Report」を可能にしているのが、中医学における「脈診」です。これは熟練の医師が脈のリズムや強さを診ることで、さまざまな健康状態がわかるという医療行為。デイトン社は中医学の専門家や政府系の研究機関と協力し、スマートウォッチから取得できる脈拍のデータで「脈診」できるプログラムを開発したことで、そこまで詳細な健康状態がわかるようになったのだといいます。スコアが悪くなると、その臓器に見合った漢方薬をおすすめしてくれるサービスを用意する予定らしく、至れり尽くせり。
西洋医学の知見に立脚する西側企業にしてみれば「客観的な科学的根拠は確立途上」と見なされるでしょうから、まず出てこないであろう機能だと思います。しかし人生100年時代、病気になる前の「未病」からケアしていくという考えは今後さらに重視されるはずで、中医学の有効利用は悪くないアプローチだと感じました(ちなみに日本上陸を果たすかどうかは未定で、医療機器認証の問題を考えるとハードルはかなり高そうです)。
NASA認定の「月」時計から、コーヒー豆の時計まで
会場内で日本から唯一ブース出展していたのがサン・フレイムです。東京都台東区に本社があり、確かな品質と良心的な時計を生み出してきたメーカー。近年では「MADE IN TOKYO」を打ち出し、こだわり深い個性派モデルも提案しています。
ケースにサファイアクリスタルを使ったモデルをお披露目。受注生産モデルとのことで、高級感が漂っていました。
ブースは小さいながらも、いくつかの新興メーカーも出展。好事家の間で話題を呼んだことのあるアメリカのウォッチメーカー、EONE(イーワン)の姿もありました。視聴覚障害者たちに向けて開発された時計で、内蔵された磁石で小さな玉が駆動。外周が時、内周が分を表し、直接手で触れても時刻確認できる仕組みです。
現地にいたディレクターのカルバン・リー氏が見せてくれたのが、フェイスパーツを付け替えられる新モデル。「インターチェンジャブルシステムを新採用し、気分に合わせて見た目を変える昨今のトレンドに応えました」とのこと。外周部の玉に触れやすいよう正面側のケース径を縮小&多角形化もしたとのことで、着実な進化が見られます。
なんとも立体的な月のオブジェに目が引かれたのが、OVDの「FULL MOON M1」でした。OVDは、2016年にリッキー・ラム氏によって設立された香港と台湾が拠点の時計ブランド。ドーム風防の中央にはリアルな影が描かれた半球状の月が据えられ、時針と同じく12時間で1周するギミックです。月面探査プログラム「アルテミス計画」からインスピレーションを得たという今作はNASA認定モデルであり、公式のムーンウォッチなんです。
OVD発の別ブランドとして、日本の侍文化と伝統的鍛冶技術へのリスペクトから生まれたというブランドのRONIN WATCH(浪人ウォッチ)も展示。写真の「RONIN 02」はダマスカス鋼ケースにティマスカス文字盤と、どちらも個性的なパターンが現れた素材を使用し、オリエンタルな雰囲気を漂わせていました。なお、半数以上はアメリカで販売され、10%近くがアジアとのこと。日本でもこの間までクラファンで展開していたようです。
ドイツからやって来たリリアンタール ベルリンは、コーヒー豆の搾りかすをアップサイクルした、その名もズバリ「コーヒーウォッチ」を展示。このほかにも資源を再利用したストラップを展示したメーカーもあり、ここ香港でもサステナブルの波がやってきているようです。
