「連れて行きたい店がある」という彼の言葉
誕生日当日の朝、彼からメッセージが届きました。「今日、連れて行きたい店があるんだ。夜、迎えに行くから準備しといて」。普段はデートの計画にあまり積極的でない彼からの誘いに、私は素直に嬉しくなりました。
もしかしてサプライズを考えてくれているのかもしれない——そう期待しながら、私はいつもより丁寧にメイクをして、お気に入りのワンピースに袖を通しました。彼は以前「俺、サプライズとか苦手なんだよね」と言っていましたが、照れ隠しだろうと、あの時の私は信じていたのです。
店で待っていた"予想外の光景"
到着したのは、彼が「行きつけなんだ」と話していた居酒屋でした。店内に足を踏み入れると、そこには「Happy Birthday みなみちゃん!」という飾りつけ。カウンターの前にはケーキが置かれています。みなみちゃんとは、この店の看板店員として働く女性のことでした。
彼は私を連れたまま、迷いなくその輪の中へ。プレゼントの包みを彼女に差し出し、「誕生日おめでとう」と笑顔で言っています。私の誕生日と同じ日——それは偶然でしたが、彼は一度も私の誕生日に触れないまま、店員さんのお祝いに夢中になっていたのです。居場所のない気持ちで、私は静かにその場の端に座っていました。
