
いよいよ開幕! 主力不在でも怯まず挑む、“新調子乗り世代”がU-20W杯へ! チーム状況は? 試験導入されるビデオ判定「FVS」とは?【U-20日本代表】
20歳以下の世界一を決めるU-20ワールドカップ。2年に1度開催される祭典は今大会で21回目を迎え、前回のアルゼンチンに続いて南米開催となる。地球のほぼ裏側にあるチリで幕を開けるなか、船越優蔵監督が率いるU-20日本代表は、4大会連続12回目の出場を果たす。
ロス五輪世代の最年長組が主力となる今大会。一次予選からの歩みを振り返ると、様々な困難があった。
昨年9月のU-20アジアカップ予選。一次予選の位置付けとなる最初の関門で、船越ジャパンはまさかの苦戦を強いられた。2連勝で迎え、引き分け以上で首位突破が決まるなかで最終戦はホスト国であるキルギスに1−1のドロー。後半早々にリードを許す展開となりながらも直後にFW神田奏真(川崎)が同点ゴールを決め、辛くも勝点1を積み上げて予選突破となった。
続く今年2月のU-20アジア杯。ワールドカップの最終予選にあたり、準々決勝を勝ち抜けば本大会出場が決まる。そのレギュレーションにおいて、日本は出場権をかけてイランと対戦。黄金世代と称された中東の雄のフィジカルを前面に押し出すスタイルに苦戦し、早々に失点。そこから追い付き、最後は延長戦を経てPK戦でライバルを振り切った。
幾多の困難を乗り越えて掴んだ本大会出場。今回もU-20アジア杯予選同等にインターナショナルマッチウィーク外の開催で、FW塩貝健人(NEC)やFW後藤啓介(シント=トロイデン)といったロス世代最強ストライカーコンビは招集されておらず、一次予選後にベルギーに渡ったMF保田堅心(ヘンク)もメンバーに組み込めていない。
国内組でも、長らく主力を担ってきたDF髙橋仁胡(C大阪)が不在。右足の第5中足骨を骨折した影響で、前回大会に唯一出場していた実力者を欠く布陣で強豪国に挑む。
不安材料を挙げればキリはなく、メンバー発表後にはMF中島洋太朗(広島)がACLで負傷。スターターだけではなく、攻撃の切り札として期待していた世代屈指のプレーメーカーの欠場も手痛い。
だが、明るい材料もある。髙橋の代役として、左SBにDF小杉啓太(ユールゴーデン)を招集できた点は心強い。23年のU-17W杯でキャプテンとして16強入りに貢献し、所属クラブではすでにヨーロッパカンファンレンスリーグなどにも出場。10代で豊富な国際経験を持つ男の招集は、チームにとってプラスに働くはずだ。
そうした状況下で今大会、まずはグループステージを戦う。A組に入った日本は現地9月27日に大会のオープニングマッチとしてエジプトと戦い、30日にはホスト国であるチリとの一戦を控える。最終節は10月3日のニュージーランド戦となり、上位2か国に入ればノックアウトステージ行きが決まる。
3位になった場合は、ほかの6グループで3位になったチームの中で上位4か国に入るパターンでも、突破は可能だ。ただ、ベスト16の組み分けや日程を考えれば、是が非でも首位突破を狙いたい。
特に1位抜けができれば、グループC、D、E組の3位のいずれかと対戦する。C組はブラジル、スペイン、モロッコ、メキシコがひしめくしグループで、2位突破の場合はC組2位との対戦となり、3位突破のケースでもCもしくはBの1位と顔を合わせる。選手の成長を考えても本物の力を持つ国との対峙は大歓迎となるが、頂点を目ざすのであれば、ラウンド16は1位抜けで行きたいところだ。
チーム状況としては22日に非公式でトレーニングマッチを行ない、23日に事前合宿を行っていたパラグアイからチリへ移動。開幕前日の26日の時点で離脱者はおらず、21名全員が良いコンディションでプレーができている。
気候も日本とは真逆で冬から春に移行しているタイミング。暑さはなく、サッカーをするうえでは最も良い状態であるのは間違いない。食に関してはシェフが同行しており、不自由なくバランスのとれた食事ができている。ピッチ外の環境面も含め、順調にきているといって良いだろう。
今大会はVAR方式ではなく、「フットボール・ビデオ・サポート(FVS)」が導入される。FVS方式は「得点、一発退場、PK、人間違いのカード提示」に関する事案が対象で、VARのように常時映像をチェックする審判員は不在となる。レビューはチームからのリクエストによって原則行なわれ、選手が監督らに向けてリクエストの助言も可能。リクエストの上限は1試合につき2回となっており、レビューで判定が変わった場合のみ回数は減らない。
すでに女子のU-20W杯などで試験的に採用されているが、今回のメンバーとスタッフは初体験となる。そうした新たな施策への順応をすべく、女子のU-17W杯で主審を担当した小泉朝香審判員からレクチャーを受けたという。
「選手にも周知をしていて、こういうことが起こり得るだろうと。(両チーム合わせて)4回(権利が)あるので試合が切れるし、集中力が求められる。そこは選手にも伝えました」(船越監督)
適応力が求められるなかで迎える大舞台。過去最高成績は1999年大会の準優勝(当時の名称はワールドユース)。以前のように世代のトッププレーヤーが集まりにくい大会になりつつあるが、最高峰の戦いに相違はない。
ロス五輪世代の選手たちがどのような戦いを見せるのか。「彼らは物怖じしない」とは指揮官の言葉。“新”調子乗り世代の冒険から目が離せない。
取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
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