私は今年も1月2日の朝から、池袋のヤマダデンキLABI池袋本店に来ていた。福袋企画のためだ。さて、今年はどうするか……。毎年大体似たような感じで、予算内のものは過去に全てレビューしたため、切り口が難しい。
去年は買わなかったものな。今年もスルーでいいか……いや待てよ。これは絶妙に需要を突いているんじゃないか? たぶん偶然だと思うけれど。
・売り切れ
ちなみにヤマダのガンプラ福袋は、純粋に事実として、毎年ヨドバシ・ビックカメラのガンプラ福袋よりも数が少ないにもかかわらず、入手しやすい。少なくとも都内では、昼くらいにのんびりと探し回っても余裕で買える年が多い。
毎回セレクトの内容に、夢やタイムリー性が控えめなのが原因ではないかと、私は考えている。おそらく、在庫の現金化に特化しているのだろう。経営的には正しい判断の1つだと思う。
そんなヤマダの今年のガンプラ福袋の内容は、店頭のチラシによると以下のとおり。
「ガンプラ福袋A」
・HG AGE-FX
・HG キャリバーン
・HGCC ∀(ターンエー)
「ガンプラ福袋B」
・HG エクシア
・HG バルバトス
・HG エアリアル
・HGCE エールストライク
値段はどちらも3600円で、支払いは現金のみ。定価の総額的にはお値打ちだが、やっぱ夢が控えめだよなぁ。
PGνガンダムの購入確約権が入ってたビックカメラとか、ちゃんとラインアップに縛りがあったヨドバシと比べるとなぁ……。まあ今年のヨドバシは全部持ってる人も多いだろうから、PGνガン確約のビックカメラが個人的には優勝な気がしている。
しかし今回は福袋Aが売り切れている。これはこれは。いや待てよ。よく考えたら、Aのセレクトはけっこう良いかもしれない。意図したのかは不明だが、情勢による追い風が吹いている可能性を感じなくもない。
・キャリバーンと∀
理由の1つはガンダム・キャリバーン。『機動戦士ガンダム 水星の魔女』における主人公機の1つ。
このタイミングでのキャリバーンは、ワンチャン、ミラクルが発生しているのではないか?
実は、最新かつ最も勢いのあるガンダム関連ソシャゲ『SDガンダム ジージェネレーション エターナル』の正月ガチャPU対象が、ちょうどガンダム・キャリバーンなのだ。
そして「ジークアクス」からガンダムに入り、Gジェネでガンダムシリーズのストーリーを追っている若いファンは確実にいるに違いない。
その層にとって、キャリバーンは最もタイムリーな機体。ちなみに、ヤマダ店内を探したところ、キャリバーン自体は2200円で売られていた。福袋は売り切れ。何も買わずに記事にする寄生虫の如きムーヴは最悪なので、参考資料としてキャリバーンを買ってきた。
福袋は3600円。他が欲しくない場合、キャリバーン単体で買った方が1400円も安く済む。そこで静かに輝くのが、∀だと思うのだ。
ターンエーは作品自体が古く、特徴的なデザインだ。他の主人公機よりもガンプラを持っていない人は少なくないと思われ、セットでお得について来るなら嬉しいラインではなかろうか。
また「ジークアクス」からの新規勢でガンダムにハマった層の動向も、∀の需要をアップさせる可能性があると私は考えている。
「ジークアクス」新規勢にとって、関心の対象は宇宙世紀だろう。「ジークアクス」終了後にSNSにあふれた古参ガノタの助言などを参考に、彼らは恐らく「初代」から「Z」までの劇場版を履修した。
「Z」を劇場版で見ているため「ZZ」はスルーし、とりあえず「逆シャア」へ行くのだろう。そしてBGMやバナージの叫び声が有名な「ユニコーン」を視聴。
最後に最新の「ハサウェイ」に至り、今は1月30日公開予定の『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』を楽しみにしているというのが、コモンな動向だと私は推測している。
Gジェネ勢は上記のルートを全てゲーム内で完結できる(ゲームに月額480円課金すると、いくつかの劇場版およびガンダムシリーズのアニメ全話をフルで見ることができる脅威のシステムが実装されている)し、クリスマスに『ポケットの中の戦争』も見たかもしれない。
「ユニコーン」に強く惹かれた層は、何らかのサブスクで『機動戦士ガンダム Twilight AXIS』と『機動戦士ガンダムNT』も見たかもしれないが、多数派ではないだろう。
そして新規層の多くは、まだ「F91」や「Vガンダム」など、ハサウェイより先の時代を見ていないのではないかと思うのだ。そんなガンダムだけに視聴時間を割けるかという物理的な問題と、もうすぐ公開のハサウェイ続編をなんとなく待ちたいみたいな理由で。
そして「∀」については “よくわからんけど全てのガンダムが行きつく先” みたいな概念を、ぼんやりと抱いてそうではないか。そういうのが全て絡み合い、「キャリバーンちょっと欲しいし、ついでに∀も良いんじゃね?」みたいな感じ。
私と同じようなガンプラおじさんからすれば、今年も福袋の中身は全て所持済みで、微妙なラインアップだったかもしれないけれど。
しかし時代は年寄りが作るものではないのです。「ジークアクス」が開拓した新規ファンの抱える需要が、奇跡的に「ガンプラ福袋A」のセレクトとマッチした可能性を提唱します。
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.
