2025年にリバティ・メディアによるMotoGPの買収が行なわれ、シリーズは大きな変革のタイミングを迎えている。
1990年代からMotoGPを開催しているセパン・インターナショナル・サーキットのCEOが、変化の時にあるMotoGPで今後求められる要素について語った。
リバティ・メディアはスポーツとエンターテインメントへの取り組みで豊富な経験を持つ企業で、2017年には四輪最高峰シリーズのF1を買収した。
買収後にF1は大きく成長しており、それがプロモーターにもチケット販売の好調による収益向上や、レースの採算性を高めることに繋がっている。それだけに、リバティ・メディアによるMotoGPの買収も注目を集めた。
MotoGPのカレンダーは現在、規模の面でF1に匹敵するものとなっており、2026年シーズンは最多タイとなる22戦が予定されている。しかし両選手権の大きな違いのひとつが開催権料であり、MotoGPは依然としてF1のごく一部の額しか請求していない。
この点はMotoGPをより身近な存在にしている一方で、それでもコストは決して小さくなく、政府の支援の有無にかかわらず、グランプリ開催がサーキットにとって経済的に魅力的な提案であり続けることが極めて重要となる。
セパン・インターナショナル・サーキットは1999年からマレーシアGPを開催しており、ライダーとファンの双方に人気の高い会場として確固たる地位を築いてきた。セパンの立場は現在とりわけ重要であり、現在は2027年以降に向けた新契約についてMotoGP運営のドルナ・スポーツと交渉の真っ最中となっている。
セパンも長年MotoGPを開催してきた他のサーキットと同様に、変化する商業環境の中で開催コストの正当性を示すプレッシャーが高まっているが、新契約については年明け早々にも締結される見込みだ。
アズハン・シャフリマン・ハニフCEOは、MotoGPの成長には関係者全体の協力が不可欠であり、すべてのステークホルダーがファンとの距離を縮めるために、さらに努力する必要があると考えている。
「さらに改善できる要素はたくさんあると思う」と、ハニフCEOはMotorsport.comに語った。
「すべては我々プロモーターから始まっていくが、もちろん、ドルナやチーム、ライダーなども、スポーツとしての魅力を高め、若い世代にリーチするために、より大きな役割を果たす必要がある」
「私はMotoGPが非常に優れた“商品”であると本気で思っている。必要なのは、もっとファンに、そして観戦に来てくれる人たちに対してアクセスを開放し、セパンに来ることでしか得られない特別な体験をしてもらうことだ」
どのサーキットプロモーターにとっても、より多くのファンをゲートの中に呼び込むことが究極的な目標になる。しかしハニフCEOは、MotoGPのアプローチは実際に現地に来られる人々だけに限られるべきではないとも認めている。
来月マレーシアの首都クアラルンプールで開催される、MotoGPのシーズンローンチイベントは、MotoGPがサーキットの外にいるファンとつながろうとしている一例と言える。
「いくつかのアイデアをドルナに提案した。できれば、これまでのMotoGPにはなかった、新しくて新鮮な何かを持ち込みたい」
「我々が話し合ったことのひとつは、どうやってサーキットに来られない人たちにMotoGPを届けるかという点だ。もちろん、彼らは自宅にテレビがあり、レースを観るための手段がある」
「しかし、さまざまな理由でサーキットに来られないファンのために、サーキット外でももっと体験を作り出し、MotoGPを身近に感じてもらい、レースを追いかけてもらえるようにする必要があると思う」
リバティ・メディアがF1を買収した際には、F1の各グランプリを“スーパーボウル”級のイベントにしていくという意向を明確に打ち出していた。つまり、レースウィークはモータースポーツだけにとどまらず、それ以上の意味を持つべきだということだ。
セパン・サーキット側もこうしたリバティのビジョンに賛同しており、観客数を支えるライト層の関心にも応えることが重要だと考えている。
「今のスポーツは、もはやスポーツだけでは足りないのだと思う。エンターテインメント性が必要なんだ」
「コンサートや(マーケティングの)アクティベーション、イベントを取り巻くさまざまなアクティビティを持ち込むことで、モータースポーツのコアなファンではない人たちも惹きつけることができると信じている」
「だが、こうした点については、ドルナとセパンの双方が検討していく必要がある」
MotoGPにとどまらず、セパンはサーキットをより幅広い“目的地”へと発展させる長期的ビジョンも追求している。ファクトリーやその他施設の併設をするサーキットもあるが、セパンはモータースポーツの枠を超えた分野への拡張を目指している。
「サーキットそのものについて、大きな計画がある。現在、5年計画と10年計画、中期および長期計画を検討している」
「いくつかの投資家と話を進めており、ここに資産を投入してもらいたいと考えている」
「ここには活用できる広大な土地がある。投資家が参入し、サーキット周辺にエコシステムを構築してくれれば、モータースポーツとエンターテインメントの拠点としてこの場所を作り上げることができるはずだ」
「モータースポーツだけではなく、ホテルやテーマパークのような他のアトラクションも考えられる。人々がモータースポーツイベントだけのために来るのではなく、ショッピングなど他のことも楽しめる場所にしたい」

