突然の「ランニング宣言」
「来月、ランニングの大会に出ることにした」。彼の口からその言葉を聞いたとき、私は耳を疑いました。だって彼は、駅の階段すら避けてエスカレーターを選ぶような人だったのです。「どういう風の吹き回しなの?」と笑いながら聞くと、「そろそろ体を動かさないとやばいかなって」と、照れくさそうに答えました。私は純粋に嬉しくなり、「応援するね」と伝えたのを覚えています。
それからの彼は、仕事終わりや休日に熱心に走り込みを始めました。会える時間は減ったけれど、目標に向かって頑張る姿を誇らしく思っていたのです。
大会会場で見た光景
大会当日、私はサプライズで応援に行くことにしました。彼には内緒で会場に向かい、ゴール付近で待っていようと考えたのです。
けれど会場に着いて彼の姿を探したとき、私は思わず足を止めてしまいました。人混みの中で見つけた彼は、見覚えのない女性と楽しそうに話していたのです。
しかも二人は、お揃いのランニングウェアを着ていました。まるでペアルックのように、色違いのデザイン。声をかけることはせず、私はただ遠くからその光景を見るだけにしました。
