
「アメリカ人は自己主張が強いからナルシストが多そう」「日本人は控えめだから低そう」
そんなイメージを一度リセットしたほうがよいかもしれません。
米ミシガン州立大学(MSU)はこのほど、世界53カ国・約4万6000人を対象とした大規模調査によって、「ナルシスト傾向が強い国はどこか」を明らかにしました。
では、日本はこのランキングで何位だったのでしょうか。
研究の詳細は2025年12月4日付で学術誌『Self and Identity』に掲載されています。
目次
- 4万6000人調査で判明した「ナルシスト傾向が強い国」
- 日本は何位だったのか?
4万6000人調査で判明した「ナルシスト傾向が強い国」
この研究は、心理学誌に掲載された国際共同研究で、53カ国の参加者を対象に「ナルシスト傾向」を測定しています。
ここで重要なのは、研究者たちがナルシシズムを単なる「自己中心性」として扱っていない点です。
研究では、ナルシシズムを次の2つの側面に分けて評価しました。
・自己愛的賞賛
注目されたい、評価されたい、自分は特別だと思いたい傾向です。短期的には自信や魅力として機能する場合もあります。
・自己愛的競争
他者を見下す、ライバルの失敗を望む、批判に過敏になる傾向です。長期的には対人関係の摩擦を生みやすい側面です。
この2つを総合した「自己愛(全体スコア)」で国別平均を比較した結果、ナルシスト傾向が最も強かった上位5カ国は次のようになりました。
1位:ドイツ
2位:イラク
3位:中国
4位:ネパール
5位:韓国
一方、最も低かった下位5カ国は、セルビア、アイルランド、イギリス、オランダ、デンマークでした。
ここで注目すべきなのは、「いわゆる個人主義的な西洋諸国ばかりが上位ではない」という点です。
研究者自身も、この結果は従来のイメージを覆すものだと述べています。
日本は何位だったのか?
では、日本はこのランキングでどこに位置していたのでしょうか。
結論から言うと、日本は53カ国中26位でした。
ちょうど真ん中付近で、「特別に高い国」でも「極端に低い国」でもありません。
ただし、日本の特徴は内訳を見ると際立ちます。
・自己愛的競争:やや高め
・自己愛的賞賛:かなり低め
つまり日本は、「目立ちたい」「称賛されたい」というタイプのナルシシズムは弱い一方で、「他者との比較」や「内面的な競争意識」に関わる側面が相対的に残っているという構造を示していました。
この点は「日本人はナルシストではない」という単純な結論が誤りであることを示しています。
正確には、日本では自己主張型のナルシシズムが抑えられ、内向きな形で表れやすいと考えられるのです。
さらに研究全体で確認された重要な傾向として、
・若者ほどナルシスト傾向が強い
・男性は女性より高い
・自分を社会的に高い地位にいると感じている人ほど高い
という関係は、ほぼすべての国で共通していました。
文化や国が違っても、「ナルシシズムの基本構造」は驚くほど似通っていたのです。
ナルシシズムは「国民性」ではなく「人間の性質」
今回の研究が示した最も重要なメッセージは、ナルシシズムは「特定の国の問題」や「西洋的な性格の欠陥」ではない、という点です。
国によって平均値の差はありますが、年齢や性別、社会的地位との関係は世界共通でした。
つまりナルシシズムは、文化を超えて人間に備わった心理特性の一つだと考えられます。
日本が26位だったことも、「日本人は健全」「日本人は歪んでいる」といった評価を意味しません。
むしろ、「ナルシシズムの表れ方が他国と違う」ことを示すデータだと言えるでしょう。
あなたの周囲にいる「ナルシストっぽい人」も、実は国や文化ではなく、年齢や立場の影響を強く受けているのかもしれません。
参考文献
Is narcissism a uniquely American trait? A new study suggests not.
https://msutoday.msu.edu/news/2025/12/narcissism-affects-the-world
Countries With The Most Narcissists Identified By 45,000-Person Study, And The Results Might Surprise You
https://www.iflscience.com/countries-with-the-most-narcissists-identified-by-45000-person-study-and-the-results-might-surprise-you-82138
元論文
Cultural moderation of demographic differences in narcissism
https://doi.org/10.1080/15298868.2025.2593298
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部

