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早大はなぜ最後まで攻めきれなかったのか――V14明大の選手たちが語った「オールコネクト」の意識【ラグビー大学選手権】

早大はなぜ最後まで攻めきれなかったのか――V14明大の選手たちが語った「オールコネクト」の意識【ラグビー大学選手権】

力を振り絞った。

 2026年1月11日、4万3489人が集まる東京・国立競技場でラグビーの大学選手権決勝が行なわれ、明大は、史上最多16度の優勝を誇る早大を22―10で退けた。

 2018年度以来14回目の日本一に輝いた。4年生センターの平翔太主将は言う。

「想定外のことを想定内にして戦うよう準備した。それをフィールドでできてよかったです」

 後半9分までに22得点して迎えた終盤戦。攻めまくる早大に明大が食らいついた。

 12点リードの後半24分だった。早大の2年生スタンドオフとして好キック連発の服部亮太が、ミットフィールドで中央突破。スタンドを沸かせた。
  人気のキーマンが潮流を変えそうなところだったが、服部の進路にはさらなる明大の壁があった。待ち構えたのは、明大2年でウイングの白井瑛人だった。スティールに成功した。

 続く28分にも、明大は似た場面を作った。鋭く切れ込む服部を、明大フォワード陣が仕留めた。3年生ロックの亀井秋穂が倒し、4年生フッカーの西野帆平が球に絡んだ。

 服部が「そこまで行って(トライを)獲り切れないのが反省するところ。獲り切れるチームが、優勝するチーム」と天を仰ぐなか、亀井は「今回のチームのフォーカスは『オールコネクト』。ディフェンスのコネクションも含まれます。自分は低く刺さっていくことを意識」。西野は別角度で深掘りした。

「相手のスタンドオフが内に切ってくる(接点側にステップを踏む)と分析(したおかげで、スムーズにスティールを)狙っていけました」

 22―10と迫られていたラストワンプレーの場面では、終了のホーンを聞きながら向こうが落球するまで辛抱した。

 リーダーの言葉を借りれば、荒波に立ち向かうことも「想定内」としていたのだろう。

 4年生スクラムハーフの柴田竜成は、飾り気のない言葉で表した。

「(守りの列が)揃っていないなかでも、しっかりコミュニケーションを取って、コネクトできた」

 お互いに手堅かった。キックで陣地を奪い合った。早大は服部が特大の一撃でスタンドを沸かせる一方、明大はフルバックの古賀龍人が空洞を鋭利に切り裂いた。どちらにボールが渡るかがわからない、上空への球筋も増えた。明大の柴田はこうだ。

「フィフティ・フィフティ。どっちに転がるかわからない。だから相手に転がっても、自分たちはチェイス(落下地点の防御網)を揃えていれば不安はないです」

 拮抗した腕相撲のような流れのさなか、重要な局面を制したのが後の勝者だった。

 7―3で明大リードの前半28分。早大は日本代表フルバックで3年の矢崎由高をイエローカードで欠いた。その次に起きた明大のアタックで、明大の柴田が右奥のスペースへ足を振り抜いた。シャープな弾道を描いた。

 ちょうど相手の最後尾が手薄になっているのを踏まえ、その判断をした。

 それに対して服部が処理に回ったものの、その地点には白井ら明大の追っ手も殺到していた。まもなく明大が攻撃権を握り、その場に居座った。

 33分、スタンドオフの伊藤龍之介が得意のランでチーム2トライ目を挙げた。直後のゴール成功で14―3とした。殊勲の9番は頷く。

「裏のスペースが空いていたので、そこに蹴った。いいチェイスもあったおかげで、ミスを誘えたのかなと。(スコアを)獲り切れるところで獲り切れたのは、デカかったです」
  もうひとつのクリティカル・モーメントはハーフタイム直前にあった。

 早大が敵陣22メートル線付近右中間でスクラムから展開も、継続するほど後退を余儀なくされる。
  明大が鋭いタックルを繰り返したからだ。結局、ピンチを凌いだ。

 クライマックスのシーンで示した激しさ、粘着性を、物語の途中でも存分に披露していたのだ。

 チームは11月2日の慶大戦であわや2敗目という内容で辛勝してから、レギュラーと控え組が激論をかわした。それ以来、ミーティングの頻度、密度を変貌させた。それまでの攻撃型のゲームプランを、陣地獲得と肉弾戦に焦点を当てたものにした。

 かような秋からの歩みを、大事なゲームでの頑張りに昇華した。

 パスやキャッチでミスのかさんだ早大にあっては、インサイドセンターの野中健吾主将が「ミーティングで(様々な状況を)想定していたのですが、いざその場に立ってみると攻め急ぐというメンタルがあったのかな…」。一方、対面にあたる優勝主将の平は喜びを抑えて述べた。

「ゲインされた後も(その地点まで)戻って、ディフェンスラインを上げることができた。コネクションを切らさずディフェンスができたのは、この1年での成長です」

 さらには攻防の起点となるスクラムでも、レフリーの判定をよいほうに傾けた。西野はこうだ。

「僕らはヒット&チェイス(ぶつかる瞬間に足をかく)を…と。そこでレフリーさんに『しっかり止まって』という話に。ただ、フォーカスの(一部の)ヒットは体現できた」

 取材エリアで囲まれた1人は伊藤龍だ。

 防御の背中を通すようなパス、人をかわす走りでチームの全3トライに絡み、神鳥裕之監督から「替えのきかない選手。チームリーダーが平とするならゲームリーダーは彼(伊藤龍)。一貫性も出てきた」と称えられた3年生だ。

 去り際にしたのは笑い話だ。ミーティングや分析の時間が増えた11月から趣味の麻雀を控えていた、といった主旨を語り、表情を崩した。

取材・文●向風見也(ラグビーライター)
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配信元: THE DIGEST

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