『STARDOM in KORAKUEN 2025 Sep.』後楽園ホール(2025年9月27日)
ワールド・オブ・スターダム&STRONG女子ダブル選手権試合 ○上谷沙弥vsAZM×
ワールド王者・上谷がSTRONG女子王者・AZMをとのダブルタイトルマッチを制して二冠達成。5★STAR GP覇者でH.A.T.E.の同門である渡辺桃を11・3大田区大会で迎え撃つことが決定的になると、次なる野望として「お前らを東京ドームに連れていってやるよ!」とぶち上げた。
ワールド王者・上谷は9・6横浜武道館大会でビー・プレストリーを返り討ちにして5度目の防衛に成功した。試合後、5★STAR GP準決勝(8・20後楽園)で上谷に勝利していたAZMが赤いベルトに挑戦表明。上谷がAZMが持つSTRONG女子王座も同時に懸けることを条件に出すと、AZMも同意し、後楽園大会での二冠戦が実現した。
プロレス大賞史上初となる女子レスラーのMVP受賞を狙う上谷は「AZMには沙弥様の踏み台になってもらう」と通告。注目の一戦が行われるとあって、後楽園ホールは1639人(超満員札止め)に。前日にTBS系列で放送されている朝のバラエティ番組『ラヴィット!』で地上波としては23年ぶりとなる女子プロレスの生中継を実現させた上谷は勢いに乗って二冠戦に臨んだ。
序盤からセコンドに介入させた上谷が場外乱闘に持ち込むと、南側スタンド席にAZMを連行。そこで扉に投げつけるなどして一方的に痛めつけて主導権を握る。一方、AZMも鉄柱越えプランチャを皮切りにスピードを活かして反攻。互いに真っ向から削り合うと、打撃戦で火花を散らした。
AZMは上谷のニールキックを完璧に読んで、空中で腕ひしぎ十字固めに捕らえる。しつこく右腕を狙い撃ちにすると、スープレックス合戦へ。上谷が押し切りにかかったものの、負けじとAZMはカナディナンデストロイヤーからあずみ寿司でクルリ。上谷がなんとか肩を上げると、場内はさらに熱を帯びる。上谷は蹴り技連発からスタークラッシャーで突き刺したものの、今度はAZMがキックアウトした。
ここからアクセルを踏んだAZMは連続式あずみ寿司であわや3カウントの場面を作ると、このチャンスを逃してなるものかと、カナディナンデストロイヤー、いっちょあがり(ダブルアーム式カナディナンデストロイヤー)、さらには雪崩式カナディナンデストロイヤーまで敢行。上谷が沈まないとみるや、ヌメロ・ウノに捕らえて絞めに絞めた。
大ピンチを迎えた上谷は丸め込んで九死に一生を得る。AZMはジャンピングハイキックから再びいっちょあがりの構えに入るが、上谷はストレートパンチ、頭突き連打でなりふり構わず抵抗。スクールボーイスープレックスで投げ飛ばすと、そこからクラッチを解かずにブルーサンダーを繰り出した。AZMがクリストを仕掛けてきてもキャッチして、急角度のスタークラッシャーをズバリ。カミゴェ式フロントハイキックから旋回式スタークラッシャーを決めて3カウントを奪った。
上谷が激闘を制し、ワールド王座6度目の防衛を果たすと同時にSTRONG女子王座を奪取。二冠王となった。新たなベルトを手にした上谷は「ベルトってすげぇ重てえな。でも、沙弥様さ、まだまだ成し遂げなきゃいけないこといっぱいあるから。ここでお前に止められるわけにはいかなかったんだよ」と思いの丈を吐露する。
一方、AZMは「ここで上谷をプロレスで超えたかったけど、負けた…」とぼう然となるが、それでも「でも、もう泣かないから。上谷がスターダムを引っ張ってるのは分かるけど、AZMがお前を超えなきゃいけないんだよ! ずっとお前がトップのままのスターダムなんて面白くねえんだよ。絶対に上谷から勝つのはこのAZMだから、持っとけよ」と上谷に呼びかける。上谷が「止められるもんなら止めてみろよ」と言い返すと、2人はしばらく視線を合わせた。AZMがグータッチを求めると、上谷は突き返すように応じる。
AZMに代わってリングに現れたのが、5★STAR GP覇者で、上谷とはH.A.T.E.の同門にあたる桃だった。毎年5★STAR GP覇者はワールド王座挑戦に進むのが恒例だったが、桃はあえて次の目標を語らずにここまできていた。
桃は「上谷、二冠チャンピオンおめでとう。二冠チャンピオンね…フフフ。お前が二冠チャンピオンになって、私がここに来た理由わかるよな? STRONGと赤いベルト、私が2つとも獲ってやるから、挑戦させてください」と挑戦表明。上谷は「もちろんだよ。5★STAR覇者は強さの象徴だもんね。そんな桃と二冠懸けて戦えるのを楽しみにしてるよ」と即決する。桃が11・3大田区大会を舞台に指定しても受諾し、「至高の戦いをやってやろうよ」と投げかけると、2人は握手を交わした。
札止めの後楽園大会を締めたのはもちろん上谷。大「上谷」コールを受けると、「今年入ってずっと『たくさんの人にプロレスを見てもらう』って言い続けて、その夢が昨日叶って。まだまだ沙弥様はこれからさらなる目標……お前らを東京ドームまで連れていってやるよ!」と次なる野望を激白。大歓声を呼び込むと、「これからも沙弥様から目を離すなよ。しもべたちをひざまづけ。永遠にさようなら」と言い放ち、大きな拍手の中で後楽園大会はフィナーレとなった。
【上谷の話】「AZMとこの2本のベルトを懸けて戦って、ベルトってこんなに重たいんだなって改めて実感しました。まあでも、AZMがリングで流してた涙…。そう言ったなら、止められるもんなら沙弥様を止めてみろよ。今の沙弥様は強えからな。止められるもんなら、AZM、お前止めてみろよ。そして、昨日『ラヴィット!』で23年ぶりのテレビ生中継。沙弥様が今年ずっと言い続けた夢がひとつ叶いました。私は女子プロレスを背負って今ここに立ってるし、まだまだ女子プロレスの希望ってものはさらなる高みにあると思っているんで。私はさらなる目標、絶対にスターダムを東京ドームに連れていきます。その夢を胸に、この二冠のベルトとともにまだまだ突き進んでいきます。そして、11・3大田区、渡辺桃とこの二冠戦決まって。5★STAR優勝して、今の強さの象徴でもあると思うんで、同門対決、至高の戦いをしたうえで、絶対に沙弥様がこの2つのベルトを守り抜いてやるよ」
【AZMの話】「ダブルタイトル、私の大事なSTRONGも獲られて、赤も獲れなくて。すごく自分が嫌いだったけど、上谷に勝てたことが私の自信になったし、上谷と前哨戦をしていくうちに、プロレスがもっともっと好きになったし、上谷のおかげで私はもっともっと自信たっぷりになれて。私の中でキャリア史上最高のコンディションで挑んだつもり。だけど、負けた。負けたからもうこれ以上言っても、負け惜しみみたいになるから言いたくないけど。上谷は確かにすごいけど、ずっとトップの上谷、ずっとスターダムを引っ張ってる上谷じゃ、スターダムはダメだと思うし、ここで私が上谷を倒さなきゃいけなかった。また自分を一から見つめ直して、私は上谷を絶対に超えて、スターダムのトップに立って、スターダムのシンボルになるから。その時まで待っててください」

