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「勃起したディオニュソス」が彫刻された2500年前のペンを発見

「勃起したディオニュソス」が彫刻された2500年前のペンを発見

ディオニューソス像/ Credit: ja.wikipedia

イタリアのシチリア島で、不機嫌そうな神の顔と勃起した男根をあしらった、極めて珍しい筆記具が発見されました。

彫られていたのは、酒と陶酔、豊穣を司る神として知られる「ディオニュソス」

この大胆な造形は、古代ギリシャ世界の価値観をそのまま映し出しています。

目次

  • 骨で作られた「神のペン」
  • なぜ「勃起した神」を描いたのか

骨で作られた「神のペン」

この遺物が見つかったのは、シチリア南部の都市ゲラです。

発見されたのは、骨で作られた「スタイラス」と呼ばれる筆記具で、長さは約13.2センチ。

粘土や蝋板に文字や印を付けるための、当時の実用的な道具でした。

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特徴的なのはその装飾です。

先端には不機嫌そうな男性の頭部が彫られ、中央部にははっきりと勃起した男根が表現されています。

この組み合わせから、研究者たちはこのスタイラスが、ディオニュソスをかたどった「エルマ像」を模したものだと判断しました。

エルマ像とは、頭部と男性器のみを強調した古代ギリシャの彫像で、魔除けや豊穣の象徴として交差点や境界に置かれていたものです。

作りが非常に精巧であることから、このスタイラスは紀元前5世紀、すなわち約2500年前のものと年代づけられています。

なぜ「勃起した神」を描いたのか

現代の感覚では衝撃的に映るこのデザインですが、古代ギリシャでは必ずしも下品な表現ではありませんでした。

ディオニュソスは、葡萄酒や酩酊だけでなく、生命力や生殖、自然の再生を象徴する神です。

勃起した男根は、そうした力を視覚的に表した、極めて直接的なシンボルでした。

考古学者たちは、このスタイラスがもともとは陶工によって、壺や器に印を付けるために使われていた可能性が高いと考えています。

その後、何らかの理由で神への奉納品として捧げられたのでしょう。

【拡大した画像がこちら】

発掘を指揮したカルタニッセッタの文化財当局も、この遺物を「当時の考古学的状況の中で唯一無二の例」と評価しています。

同じ発掘調査では、ヘレニズム時代の大規模な居住区も確認されており、この地域が長い間、人々の生活と信仰の中心だったことが改めて浮かび上がってきました。

この「勃起したディオニュソスのペン」は、単なる奇抜な遺物ではありません。

古代の人々にとって、性や身体は生命力そのものであり、神聖な象徴でもありました。

2500年前の職人が骨に込めたユーモアと信仰は、現代の私たちに、価値観の違いと同時に人間らしさの連続性を静かに伝えているのです。

参考文献

Dionysus and his erect penis depicted on 2,500-year-old bone stylus found in Sicily
https://www.livescience.com/archaeology/dionysus-and-his-erect-penis-depicted-on-2-500-year-old-bone-stylus-found-in-sicily

Beni culturali, a Gela rinvenuto un rarissimo stilo da ceramista del V secolo a.C.
https://www.regione.sicilia.it/la-regione-informa/beni-culturali-gela-rinvenuto-rarissimo-stilo-ceramista-v-secolo-ac

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

配信元: ナゾロジー

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