FIA世界耐久選手権(WEC)第7戦富士6時間レースの予選が行なわれ、ハイパーカークラスはアレックス・リンがアタックを担当したハーツ・チームJOTAの12号車キャデラック、LMGT3クラスはレーシングスピリット・オブ・ル・マン10号車のアストンマーティンがポールポジションを獲得した。
トヨタ勢は8号車の8番手が最上位だった。
LMGT3クラス
まず行なわれたのはLMGT3クラスの予選。トップ10台がハイパーポールに進出することになる。アタックを担当するのは、各チームのブロンズライセンスのドライバーだ。
12分間のセッション途中には、ビスタAFコルセの54号車フェラーリがスピンし、ウォールに軽く接触するシーンもあったが、幸い大事はなく各車がアタックを続けた。
中でも速さを見せたのが、ユナイテッド・オートスポーツのマクラーレン勢。59号車がトップタイムを記録すると、僚機95号車もセッション後半にタイムを更新。2番手にジャンプアップし、ワンツーでハイパーポールに駒を進めた。95号車の佐藤万璃音はゴールドライセンスのドライバーであるため、シルバードライバーが担当するハイパーポールも含めて予選を走れないが、この結果にはひと安心だ。
11番手で惜しくもハイパーポール進出を逃したのは、チームWRT46号車のBMW。MotoGPのレジェンド、バレンティーノ・ロッシを擁するチームであるため注目度が高いクルマだが、ここで予選を終えることになった。
続いて行なわれたハイパーポールは、マクラーレンとアストンマーティンの激しい首位争いが繰り広げられた。
最初に主導権を握ったのは、レーシングスピリット・オブ・ル・マン10号車のアストンマーティン。元F1ドライバーのルーベンス・バリチェロの息子、エドゥアルド・バリチェロがアタックし、暫定トップとした。
しかしその後、ユナイテッド・オートスポーツのマクラーレン2台が10号車のタイムを上回ってワンツーに並んだ。トップは95号車のショーン・ゲラエルだ。
だがバリチェロは再びのアタックで唯一の1分39秒台となる1分39秒981をマーク。95号車を0.030秒差で下し、10号車がクラスポールを獲得した。
ハイパーカークラス
ハイパーカークラスの予選は、気温23度、路面温度33度のコンディションで始まった。まずはトヨタ勢を先頭にコースイン。事前に明かされていた通り、7号車はニック・デ・フリーズ、8号車は平川亮がアタックを担当した。
じっくりとタイヤを温め、最初にアタックを完了した平川は、1分29秒252を記録。これがベンチマークとなった。
これを最初に上回ったのが、プジョー93号車のミケル・イェンセン。1分28秒989を叩き出し、昨年のポールタイムを上回った。さらにその上に行ったのが、アストンマーティンの009号車。マルコ・ソーレンセンが1分28秒935をマークした。
トラフィックの影響などでアタックを中断するマシンも見られる中、ハイパーポール進出圏外まで落ちてしまった7号車のデ・フリーズはタイム更新を試みるも、大きくジャンプアップすることはできず……14番手で予選を終えることになってしまった。なお8号車は5番手でハイパーポール進出を決めている。
フリー走行から好調だったプジョー、アストンマーティンも1台ずつノックアウト。2台揃ってハイパーポールに駒を進めたチームはハーツ・チームJOTAのキャデラックのみ(フェラーリは50号車とカスタマーの83号車が進出)という意外な展開となった。
10分間のハイパーポールも、8号車の平川が真っ先にコースイン。1分29秒071まで自己ベストを更新してみせるが、後続のマシンが次々とそれを上回っていった。
驚きの速さを見せたのが、キャデラック勢。2台揃って1分28秒6をマークし、12号車のアレックス・リンが、38号車のアール・バンバーをわずかに上回った。
リンは続くアタックでもさらに速さを見せ、一気に1分28秒236までタイム更新。チームメイトすら0.436秒も突き放す圧巻のタイムを叩き出した。
フリー走行で好調だったアストンマーティンも、ソーレンセンが意地のタイム更新で3番手に食い込んだ。
最終的にキャデラックは12号車がポール、38号車も2番手に入りフロントロウ独占。3番手に009号車アストンマーティン、プジョー94号車が4番手という上位の並びとなった。トヨタ8号車は最終的に8番手から決勝レースに臨むことになる。

