1月12日は「成人の日」。10日からの3連休で、大人の一歩を踏み出した若者たちの門出を祝う「二十歳の集い」が全国各地で開かれた。例年、全国きっての盛り上がりを見せる沖縄では、今年も二十歳になる若者たちが、寒さに負けない〝熱風〟を吹かせた。
一世一代の〝バズり〟を目指して愛車を改造したり、ど派手な衣装でのヤンチャな箱乗りで警察との捕り物を演じたり。ヤンチャ度高めの式典会場の様子をレポートする。
「大奥目指してるんで!」
本島中部・うるま市。かつて、沖縄戦の終結後に米軍統治下で発足した行政機構「沖縄民政府」が置かれた石川市と具志川市、勝連半島を望む勝連町、与那城町の2市2町が合併し、2005年に誕生した同市は県内3番目の人口を誇る。
市内に闘牛場を擁する「闘牛の町」としても有名な同市は、近年では「おきツラ」の愛称で呼ばれるほどにヒットしたアニメ『沖縄で好きになった子が方言すぎてツラすぎる』の舞台となったことでも知られる。
暴れ牛の決闘に熱狂する土地の気風もあってか、地域の団結力と祭事での盛り上がりは県内でも指折りの地域だ。とりわけ、新たに社会に出る若者たちが一堂に会する「二十歳の集い」は例年、大きな熱気に包まれる。
南国らしからぬ寒波が吹いた11日午後、会場となったうるま市石川会館には色とりどりの振り袖や袴に身を包んだ若者たちが集まっていた。
刺繍が施されたド派手な袴を着込んだ男性陣の中でも異彩を放っていたのが、リーゼントに艶やかな振り袖というユニセックシャルな出で立ちで登場した金城浩志さん(20)だ。
「大奥目指してるんで!」と明るく笑う金城さんの振り袖は母親から譲り受けたものだという。
地元の石川中学校の同級生らとお揃いの紅白の袴で参加したのは、石川靖真さん(20)と花城諒真さん(20)。
ヤンキー漫画の名作『ビー・バップ・ハイスクール』の「菊りん」こと菊永淳一を彷彿させる見事なパンチパーマでキメた花城さんは、「とび職として建築で3年がんばっています。もう少し経験を積んで、来年か再来年には独立できたらいいなと思っています」と夢を明かした。
同じく建築業界で現場監督の重責を担う石川さんも、「一級土木の資格を取りたいですね」と目を輝かせた。
政治団体の街宣車が警察官と衝突
式典開始の時間が迫り、そこかしこで旧友との再会を喜ぶ若者たちの歓声が響く中、会場の外からパトカーのサイレン音が鳴り響いた。
「お、始まったんじゃない?」。祭り本番を待ちわびていたかのような誰かの一言をきっかけに、若者が一斉に会場外の公道に走り出した。
「俺らなんかが一番気合い入っているからよ!」
公道の真ん中で、沿道のギャラリーの視線を一身に集めて誇らしげに叫ぶのは、車の屋根をぶった切ってオープンカー状態にした軽ワゴン車に箱乗りする一団だった。
おめでたい紅白の塗装をまとった車体、フロントには「成人」と大書された車体から身を乗り出し、派手なのぼりを振り回している。
その周りを待機していた警察官が取り囲んでいるが、意に介す様子はない。お揃いの水色を基調にした袴の若者たちは、車上から女性警官を挑発したり、「さいこーっ!」と興奮を隠しきれない様子だった。
「やっぱり俺らがやらんと沖縄盛り上がらんからよ。車どうしたかって? 仲間と一緒にやったばぁよ。捕まって罰金で6000円取られたけど、たいしたことないでしょ」
警察官の事情聴取を終えた運転手の男性は豪快に笑い飛ばした。
若者と警察官との攻防が繰り広げられた公道のすぐ側では、別の諍いも。日章旗や日本国旗を掲げる政治団体の街宣車が交通整理に当たる警察官から足止めを食らい、メガホン越しに「街宣許可を取っているのになんで止めるか!」とやり合っている。
「なぜ、ここに?」と問う記者に対して、政治団体の関係者とみられる男性は「新たに二十歳になる若者に日本のことを真剣に考えてほしくて県内各地を回っている。もう2カ所回ったから、これから南下して那覇のほうにも行くつもりだ」と話した。
地元の若者たちへのアピールのためか、街宣車から鳴り響いていたのは、お馴染みの軍歌などではなく、地元・うるま市出身の人気バンド「HY」のヒット曲だった。

