
『アンカット・ダイヤモンド』(19)で批評家から絶大な評価を受け、クリティクス・チョイス・アワードで監督賞にノミネートされたジョシュ・サフディがメガホンをとる本作。これまで弟のベニー・サフディと共にサフディ兄弟として監督してきたが、『The Pleasure of being Robbed』(08)以来の単独監督作となる。主人公は、1950年代のニューヨークを舞台に、卓球の世界チャンピオンになって人生一発逆転を狙う野心家の男。実在の卓球選手、マーティ・リーズマンの人生に着想を得ながら、嘘つきで女たらしで自己中な“最低男”、マーティ・マウザーの最高のロマンが描かれる。

卓球の腕前はピカイチのマーティは、親戚の靴屋で働きながら、平凡な生活から脱却すべく、卓球の世界選手権へ挑戦。ロンドンで日本選手に敗れたマーティは、次回日本で行われる世界選手権へ参加し、雪辱を果たすため、ありとあらゆる方法で資金を稼ごうとする。ルックス、トーク、そして卓球と持てる武器はすべて使い、”アメリカン・ドリーム“を追い求めるマーティの姿は、夢見ることが少なくなった日本の観客、そして世界中の観客に新たなエネルギーを与えてくれるはずだ。
シャラメが主役マーティを演じるほか、グウィネス・パルトロウが共演。『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)以来、映画出演は『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』(22)で声の出演のみ。6年ぶりのスクリーン復帰となる本作で、引退したアメリカの有名女優ケイを演じる。また、マーティの友人役としてグラミー賞受賞アーティスト、タイラー・ザ・クリエイターが初の演技に挑戦。そのほか、マーティの恋人役にオデッサ・アザイオン、ケイの夫でインク会社の社長ミルトンをケビン・オレアリーが演じる。日本でも撮影がおこなわれた本作、マーティの最高のライバルとなる日本人選手エンドウ役には、東京2025デフリンピック卓球日本代表、川口功人が出演。クライマックスで見せる手に汗握る卓球シーンは本作の一つの見せ場になっている。

今回、シャラメが第83回ゴールデン・グローブ賞主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)を史上最年少で受賞。授賞式では、「父は僕に“感謝する心”を教えてくれました。『いま持っているものに、常に感謝しなさい』と。そのおかげで、これまで何も受賞できずに式をあとにする時も、胸を張っていられたんです。ああした経験があったからこそ、この瞬間がより甘美なものになったのは事実です。ジョシュ・サフディ、本当に心からありがとう。この役をくれて、僕を信じてくれてありがとう」とコメント。1月12日時点で213部門にノミネート、うち25部門を受賞し、賞レースのトップランナーに躍り出ている本作。1月22日(木)のアカデミー賞ノミネーションにも期待したいところ。

また、第83回ゴールデン・グローブの受賞を記念して、新場面写真が解禁。マーティがホテルの豪奢なベッドの上に立っている1枚は、ベージュのトレンチコートにトランクスと靴下というユニークな格好が目を引く。左手に持った黒電話は、パルトロウ演じる引退した有名女優、ケイにつながっているが、なんの接点もないはずの2人、果たしてマーティはどんな手段を使ってケイの部屋の番号を知ったのだろうか。
そして、人生一発逆転のために挑んだ卓球の世界選手権で、アメリカ国旗がデザインされたラケットを掲げるマーティの胡散臭い笑顔がインパクト抜群なカットや、ギャラリーに囲まれた卓球場で拳を突き上げる臨場感あふれる一枚も解禁に。卓球場は、マーティのモデルになったリーズマンがかつてプレーしていた実在の卓球クラブ「ローレンス卓球場」をもとにセットが作られている。
シャラメが全身全霊で挑んだ本作。“最低で最高な男”が世界を魅了する姿をぜひ劇場で楽しんでほしい。
文/鈴木レイヤ
