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カタツムリの血から冬眠誘発物質を抽出して人工合成することに成功

カタツムリの血から冬眠誘発物質を抽出して人工合成することに成功

カタツムリの血と人工冬眠や移植臓器保存

今回の研究により、「冬眠しない動物に冬眠の力をコピーする」ことがマウスの心臓レベルでは実現しうると示されました。

カタツムリの血液から発見されたSNAPという分子を使うことで、冬眠とは無縁だったマウスの細胞や心臓に休眠(省エネモード)を誘導し、虚血状態でのダメージを和らげられたのです。

論文の中で研究者たちは「SNAPは冬眠生物学を冬眠しない種へ初めて薬理学的に応用した成功例だ」と記しています。

この成果は、私たち人間を含む非冬眠動物も「休眠スイッチ」さえ入れてあげれば細胞レベルで冬眠動物の耐久戦略の一部を借りられる可能性を示唆します。

研究チームは今回マウスの心臓で確認した保護効果について、移植用の心臓を保存する際の損傷軽減に役立つかもしれないと述べています。

たとえば将来、このSNAPをドナー心臓に前もって投与しておくことで、移植手術まで心臓を「おとなしく待たせておく」ことができれば、より多くの心臓が救える可能性があります。

もちろん現在のところSNAPの効果が確認できたのはカタツムリとマウスの段階であり、ヒトで同じように冬眠スイッチを入れられるようになるにはさらなる研究が必要です。

安全性の確認や実際に生きた動物での応用研究など、課題はまだたくさん残っています。

それでも、休眠スイッチという新しい切り口は幅広い応用の夢を広げています。

細胞の休眠誘導はがん治療や老化防止などにも通じる基本原理の一つとみなすこともでき、極限環境での人類の生存戦略にもつながるかもしれません。

さらに論文の終盤では、「このスイッチをうまく使えば、超長距離の宇宙飛行で宇宙飛行士を冬眠させることも“わくわくする可能性”として考えられる」とまで書かれています。

もしかしたら未来の雑学本には「冬眠とカタツムリの意外な関係」が面白トピックとして記されているかもしれません。

元論文

An inducer of snail hibernation causes quiescence and hibernation-like cardioprotection, through metabolic rewiring and autophagy, in mice hearts
https://doi.org/10.64898/2026.01.08.698452

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

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配信元: ナゾロジー

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