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【社員旅行】サーカス団員が「上海雑技団」と「シルク・ドゥ・ソレイユ」を観て感じた大切なこと /  木下サーカスの思い出:第16回

【社員旅行】サーカス団員が「上海雑技団」と「シルク・ドゥ・ソレイユ」を観て感じた大切なこと / 木下サーカスの思い出:第16回

世界一のサーカスを目指し、ごく普通の大学生が木下サーカスに入団。全国を転々とするサーカス団員だが、年に1度だけ “旅をしない時間” がある。約1週間の長期休暇だ。

団員たちは実家に帰ったり、さらに遠くへ旅に出たり、それぞれ自由に過ごす。私自身も休暇を使って香港ヨルダン北朝鮮などを旅してきた。そんな中、数年に1度だけ行われるのが「社員旅行」である!

2010年の行き先は事前アンケートの結果、上海とマカオに決定。上海では世界最高峰の雑技団を、マカオではシルク・ドゥ・ソレイユの常設公演を鑑賞する。観光と研修を兼ねた、サーカス団員ならではの団体旅行が始まった。

・社員旅行で海外へ

1年に1度の長期休暇。家族を持つ先輩の多くは実家や自宅でゆっくり過ごすため、社員旅行に参加したのは若手団員が中心だった。上海に到着するや否や、私とマ〜シ〜はご当地Tシャツと中華サングラスを購入。雰囲気は完全に修学旅行である。

先述のように、この旅は遊びだけではない。上海では上海雑技団、マカオではシルク・ドゥ・ソレイユ『ZAIA』を鑑賞するという “学び” も含まれている。とはいえ、それ以外は基本的に自由。それぞれ好きなように街を歩き、飯を食い、夜を過ごした。

上海では豫園(よえん)や外灘(わいたん)といった定番スポットを押さえつつ、上海タワーにも足を運んだ。ガイドブック通りの王道観光を楽しんだあと、現地に住んでいる同級生と再会し、深夜まで語り合ったのを覚えている。

一方のマカオでは、街の空気がガラリと変わる。巨大なホテル、まぶしいネオン、カジノ。

男性団員の多くはカジノへ消え、女性団員の一部はフェリーで香港に渡ってディズニーを満喫。さらに多くの団員が世界最高レベルとも言われるマカオタワーのバンジージャンプを楽しんでいた。

私はというと……『深夜特急』さながら大小のゲームに燃え、光の速さで数万円失ったことは記述しておきたい。

そしていよいよ本題──上海雑技団とシルク・ドゥ・ソレイユである。結論を先に言ってしまうと、上海雑技団が圧倒的に良かった。

・上海雑技団に感動

派手な舞台装置はほとんどなく、演出も驚くほどシンプル。ただ目の前で、人間が人間の限界に挑み続ける。その1点に全神経が集中していた。

演者が技に入るたび、観ているこちらまで自然と手に汗を握る。成功すれば拍手……しかし、ほんのわずかなバランスの崩れ、呼吸の乱れが大怪我につながりかねない世界だ。その緊張感が舞台から客席へダイレクトに伝わってくる。

観客は「観ている」というより「一緒に耐えている」に近い。技が決まった瞬間、張り詰めていた空気が一気に解放され、会場が爆発する。困難な技に立ち向かう勇気。命が輝く瞬間を目の前で見せつけられている感覚。そんなもん叫ばずにいられるわけがないだろう。

公演後、出口で演者からDVDを購入した。「応援したい」と思ったからだ。なるほど、木下サーカスのお客さんもこういう余韻のまま財布を開くのか……そんなことを思った。

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