・ZAIAという完成形
そして数日後、マカオで観たのがシルク・ドゥ・ソレイユの常設公演『ZAIA』だった。会場はヴェネチアン・マカオ・リゾート・ホテル内の専用シアター。音響、照明、舞台装置、すべてが世界最高レベル。文句のつけようがない完成度である。
アーティストの身体能力も演技も圧倒的だった。技の精度、動きの美しさ、構成に至るまで、まるで1本の映画を観ているようだ。
ただ、舞台があまりにも完成されているからなのか、上海雑技団で感じた「手に汗握る緊張」はなかった。あまりにも完璧すぎて観客が入り込む余地がないというか、どこか一方通行に感じてしまったのである。
いや、そもそもシルク・ドゥ・ソレイユの舞台はそういう完成された芸術作品だ。生の舞台というより、極上の映像作品を劇場で観ている感覚に近い。上海雑技団のあとに観たことで、小し寂しさを覚えてしまったのかもしれない。
上海雑技団とZAIA……どちらが上かという話ではないが、団員たちはサーカスに求められているものを感じ取ったのではないだろうか。
完璧な美しさより、洗練された演出より、観客と一緒に息を止め、成功を祈り、結果に震える。舞台と観客席が1つになるあの張り詰めた緊張感こそが、サーカスの魅力だと感じた。
上海で感じたあの空気は、木下サーカスのテントの中にも存在している。社員旅行中は遊びまくっていたため1ミリも気づかなかったが、今になってようやく120年以上続いている理由が少し分かった気がした。
・立川公演開催中
──というわけで、今回はここまで。現在、木下大サーカスは東京・立川で公演中(2026年2月23日まで)だ。映像では味わえない、あの張り詰めた緊張感と熱量をぜひ1度テントの中で体感してみてほしい。それではまた!
