
『連続テレビ小説 ばけばけ Part1 NHKドラマ・ガイド』(NHK出版)
【画像】え…っ! 「めっちゃ強そう」「矢本悠馬に似てるかも」 コチラがラフカディオ・ハーンが絶賛した「柔道の創始者」(当時30代)です
文武に優れた人格者
2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は、1890年に来日し、『知られぬ日本の面影』『怪談』などの名作文学を残した小泉八雲さん(パトリック・ラフカディオ・ハーン)と、彼を支え、「再話文学」の元ネタとなるさまざまな怪談を語った、妻・小泉セツさんがモデルの物語です。
2026年1月13日(火)には、『ばけばけ』が第20週(2月16日)から熊本が舞台になることが発表され、新キャストも解禁されました。蓮佛美沙子さん(ヘブンの同僚の妻 / ラン役)、夏目透羽(松野家の女中 / クマ役)、芋生悠さん(熊本の田舎に住む女性 / 吉野イセ役)、夙川アトム(熊本の商売人 / 荒金九州男役)、橋本淳さん(ヘブンの同僚教師 / 作山)の5名の登場で、SNSは盛り上がりを見せています。
ただ、熊本で登場すると思われていた、ある大物がモデルの登場人物に関しては、発表がありませんでした。その人物とは、日本の伝統的な柔術を再編し1882年に講道館柔道を創設した「柔道の父」、嘉納治五郎さん(1860年~1938年)です。
近年では、大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(2019年)で役所広司さんが嘉納さんを演じていましたが、『ばけばけ』ではまだ30代前半の若き日の彼が出てくると思われます。
「レフカダ・ヘブン(演:トミー・バストウ)」のモデルである、ラフカディオ・ハーンさんは、小泉セツさんとの結婚後の1891年11月、熊本の第五高等中学校(現、熊本大学)に赴任しました。当時、第五中学の校長を務めていたのが、英語教育の重要性を感じてハーンさんを招聘した嘉納さんです。
ハーンさんは松江中学の教頭で大親友の西田千太郎さん(錦織友一のモデル)宛の手紙(1891年11月20日付け)で、嘉納さんがいかに素晴らしい人物だったかを語っています。嘉納さんは赴任初日に駅でハーンさんたちを出迎え、そのままハーンさんとセツさんを地元の高級ホテルに案内してくれたそうです。
ハーンさんは、そんな嘉納さんのことを「わたしがこれまでお目にかかったもっとも立派な方の一人です」「まるで十年来の知己であるかのような気がします」と絶賛し、さらに武道家としての彼を「わたしよりそれほど背は高くありません(ハーンさんは157cmほど)が、大変がっしりとしていて、たるんだ肉はまったくありません」「この方はまた、洋服でも和服でも変わらず立派に見えます。これは日本人ではあまりないことです」と評していました。
その後も、ハーンさんは西田さんへの手紙で「性格は非常に思いやりがあり、またとても率直」「わたしの知っているどの日本人よりも英語を話したり、書いたりするのがうまい」と、たびたび嘉納さんを称賛しています。
また、ハーンさんは熊本を離れた後の1895年3月に発表した随筆集『東の国から』のなかで「柔術」というコラムを書いており、そのなかで相手の力を使って勝つ「柔術の大師範」として嘉納さんのことを語っていました。
ハーンさんが惚れこんだ嘉納さんに当たるキャラクターは、今後登場するのでしょうか。30歳前後の、動ける俳優の起用に期待が高まります。
参考書籍:『ラフカディオ・ハーン 西田千太郎 往復書簡』(訳:常松正雄/八雲会)、『東の国から──新しい日本における幻想と研究』(著:ラフカディオ・ハーン、訳:平井呈一/岩波書店)
