●AIの活用による偽情報の氾濫には「タイムスタンプ」が有効
アイ・オー・データの創業は1976年1月10日。細野会長の自宅のガレージからスタートした。北陸の企業ということもあり最初の製品は繊維関係の特注システムだった。
「1980年代は、日本でPCが本格普及するちょっと前でした。PCの延命をしたり、性能をアップしたり、PC周辺のビジネスがあるのではないかとしてスタートしました」と、PC周辺機器メーカーとしての歴史を振り返った。
細野会長は、「50周年は、次の50年のスタートだと思っています」としながら、今後の取り組みについて「2、3年かけてチャレンジしていきたい」とした。具体的に「AI関連」「セキュリティー」「医療に次ぐ新たな事業分野の開拓」「オープンソースの動き(Ubuntu Proの活用)」の四つを掲げた。
AI関連では「AIが企業や個人の生活まで普及している中、メインビジネスであるストレージに注力します。AIは過去のデータがなければ動かない。クラウドではなく、ローカルにある情報を何とかできないかということで製品化を進めていて、今年中にラインアップに加えていきたいです」と、AI関連の製品化に意欲を示した。
セキュリティーについては「AIの活用が進めば進むほど、偽情報が氾濫します。この点でも、総務省の認定を受けたタイムスタンプのサービスを開発。カメラなどで撮影した原本データを証明できるサービスを提供しています。AIでどのように加工しようが、加工したデータと原本データを切り分けられるサービスです。米国でも規格がまとまりつつあるので、今後もAI関連におけるセキュリティーに取り組んでいきます」と語った。
既にSNSでは、画像などの元データをAIで加工したものが氾濫している。専門の業者ではなく、個人で誰でも簡単に加工できるため急速に膨張している。原本データの所属を証明するタイムスタンプは、偽情報が氾濫しても、原本データの価値を損なわない手段として有効だ。
●業種に寄り添った製品づくりとオープンソースの活用
医療に次ぐ新たな事業分野については、「マイナンバーカードで保険証の管理をするサービスをスタートしていますが、このマーケットで成果が出てきています。既存製品を使って、マイナンバーの読み込みシステムなどをラインアップしています。これに代表されるように、今後は、業種に寄り添った製品づくり、汎用品であっても業種に合わせたソフトや仕組みを組み合わせたビジネスに取り組んでいきたいです」と語った。
最後のオープンソースについては、24年にLinux OS「Ubuntu」を開発している英国のカロニカル社とライセンス契約を結んだ。「このUbuntuをプリインストールした状態で活用していきたい」という抱負を述べた。
ただ、日本のIT業界ではオープンソースのビジネス規模が小さく、SIerは敬遠しがちだという。既存のビジネスがうまくいっている中、オープンソースの必要性を感じてもらえづらいというわけだ。
これに対し細野会長は「今行われている仕事のかなりの部分をオープンソースOSでまかなえます。自分の思いでバージョンアップしていけるように、バージョンアップの主権をユーザー側で持つことに私自身、とても魅力を感じています。思いのほか苦戦していますが、こういうものも組み合わせてユーザーの選択肢を増やす役割を担っていきたい」と語った。
実際、医療用端末ではUbuntu Proを使ったものがスタートできているという。
直近のメモリー価格の高騰についても言及した。「今日の午前中のほとんどがハードディスクとフラッシュのベンダーとの交渉でした。26年はどうなるのか。値段が上がるだけでなく、予定通りに数が揃わないぐらいAIへの巨大な投資が行われています。ここでも何とか、クラウドとオンプレの組み合わせによる新たな応用方法を提案していきたいと思っています」と語り、ピンチをチャンスに変える姿勢を示した。

