これまでにツアー14勝を挙げ、最高峰の四大大会でも3度準優勝するなど数々の輝かしい功績を残している男子テニス元世界ランキング2位のキャスパー・ルード(ノルウェー/現13位)。しかし彼は有望な若手が次々と台頭する現代のテニス界で、もはや自身の過去の成功がほとんど意味を持たないことを痛感している。
近年の男子ツアーは現1位のカルロス・アルカラス(スペイン/22歳)と2位のヤニック・シナー(イタリア/24歳)が2強時代を形成し、2024年から25年にかけては四大大会8大会で両者が優勝を分け合った。さらには19歳のジョアオ・フォンセカ(ブラジル/現30位)や20歳のヤクブ・メンシク(チェコ/現18位)らを筆頭に新たな若手も勢いを増している。
そうした勢力図の変化とテニスの進化を間近で見てきたことで、27歳のルードはこれまでの自身の歩みを見つめ直す時間を得た。今週第2シードで出場している男子ツアー大会「ASBクラシック」(1月12日~17日/ニュージーランド・オークランド/ハードコート/ATP250)の開幕前の記者会見で、彼は次のように語っている。
「テニスがどう変わってきたのかを見てきて、『自分のプレーも少し変えていく必要があるかもしれない』と気付かされた。今は改善点を探そうとしている最中で、ここ数週間から数カ月にかけては、若手選手たちのプレーをたくさん研究してきた。彼らのテニスに対応するために、自分のテニスがどうあるべきかを考えている」
クレーコートを得意とするルードは、強烈なトップスピンやフィジカルの安定感、高いポイント構築力などを軸にキャリアを築いてきた。しかし現在のトップ選手たちを相手にすると、そうした展開に持ち込む前に主導権を奪われてしまうことが多い。
その課題は、現代ツアーを牽引するアルカラスとシナーとの対戦成績にも如実に表れている。ここまでアルカラスとは6度対戦して勝ったのは24年の「Nitto ATPファイナルズ」のみ。片やシナーに対しては0勝4敗と未だ勝ちがない。2強との差を分けているのは、彼らが自分と比べて「フォアハンドとバックハンドの両方で高い攻撃力を持っている点」だとルードは考えている。
「若手の中では年長のシナーから年少のフォンセカまで、年齢差は5~6歳ほどあるが、彼らは非常に強烈なショットを放ち、従来とは異なるスタイルのテニスを展開する。まずはそうした変化に慣れる必要がある。
それに加えて彼らはたいてい大きな武器を複数持っている。みんなフォアもバックも素晴らしい。先日のユナイテッド・カップ(男女混合国別対抗戦)で僕が負けたメンシクを見てもそうだ。彼もサービスが良く、バックでも左右にコースを散らしながら強く打ち込んでくる。最近はそういう選手がどんどん増えている印象だ」
そのメンシクとは今大会の準決勝で対戦する可能性があるルード。仮に実現すれば、ここまで重ねてきた“研究”を試す絶好の舞台となるだろう。そしてそれは、現代の男子ツアーにおいて、ルードのテニスがどこまで通用するのかを測る試金石にもなりそうだ。
文●中村光佑
【動画】ルードが若手のメンシクに敗れた「ユナイテッド・カップ」のマッチハイライト
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