学生が“教える側”に立つことで生まれる、もうひとつの学び

このスマホ教室を支えているのは、教員だけではありません。実際に参加者のそばに座り、操作を説明しているのは大学生です。学生が教える側に立つことで、この教室には独特の空気が生まれています。
学生にとって、スマートフォンの操作は日常の一部かもしれません。しかし、それを「相手に伝わるように説明する」ことは、まったく別の経験です。専門用語を使わず、相手の反応を見ながら言葉を選ぶ。分かった瞬間の表情を感じ取り、次に何を伝えるべきかを考える。そこには、教科書だけでは得られない学びがあります。

また、教室では年齢も立場も異なる人同士が向き合います。地域で暮らす参加者の話を聞くことで、学生は社会の現実や課題を、机の上ではなく目の前の出来事として受け取ることになります。スマホの操作を教えながら、自然と会話が生まれ、人生経験や日常の話題が交わされる場面も少なくありません。
一方で、参加者にとっても、学生の存在は心強いものです。「若い人に聞くのは気が引ける」と感じる方もいるかもしれませんが、丁寧に寄り添う姿勢が、その壁を少しずつ和らげていきます。教える側と教えられる側という関係を超えて、人と人として向き合う時間が、この教室の大きな価値になっているように感じられます。

また、こうした学びを教室の中だけで終わらせず、写真撮影や地域を歩く企画など、日常の場面でスマートフォンを使ってみる機会も大切にされています。
取り組みの節目として位置づけられた、体験型イベントという試み

こうしたスマホ教室の積み重ねの中で、学んできたことを振り返り、実際に使ってみる機会として企画されたのが、体験型イベント「Smahone・Quest 〜ウォークイズ大冒険〜」です。これは単なる発表会や成果報告ではなく、楽しみながらスマートフォンに触れることを目的とした取り組みとして位置づけられています。
内容は、スマホの基本用語をクイズ形式で確認する時間や、スマートフォンを使って歩きながら挑戦する企画など、堅苦しさを感じさせない工夫が盛り込まれています。これまで教室で学んできた操作を、日常に近いかたちで試してみる。そんな実践の場として、このイベントは企画されました。
ここで大切にされているのは、「正しく操作できるか」よりも、「使ってみようと思えるかどうか」です。学んだ知識を思い出しながら手を動かすことで、自信につながっていく。その過程そのものが、教室の延長線上にある学びと言えるでしょう。特別な技術や難しい操作を求めるのではなく、日常にあるスマホの使い方を、もう一度自分のものにするための時間として設計されています。
このイベントは、スマホ教室の集大成であると同時に、これまで積み重ねてきた取り組みを象徴する存在でもあります。継続してきた学びが、ひとつの節目として形になる。その流れが自然につながっている点に、この活動の丁寧さが表れているように感じられます。
