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「回転寿司はアミューズメントパーク」業界を30年見続けた評論家が語る回転寿司の魅力

「回転寿司はアミューズメントパーク」業界を30年見続けた評論家が語る回転寿司の魅力

回転寿司評論家・米川伸生
村瀬秀信氏による人気連載「死ぬ前までにやっておくべきこと」。今回は回転寿司評論家・米川伸生氏をインタビュー(前編)。回転寿司の魅力について、たっぷり語っていただいた。

「いい店で知られないまま消えてしまう店もある」

もはや外食産業は回転寿司の天下である。

今季の回転寿司の市場規模は過去最大の約8700億円ともいわれ、これは15年前の4636億円からほぼ倍増するという驚異の伸び率を見せている。

だが、かつての回転寿司は「ニセモノ」「安っぽい」「うさんくさい」の象徴だった。

人々が眉にツバを塗りたくっていたそんな時代から回転寿司を慈しみ、楽しみ、今日までの成長の手助けを惜しまなかった男。米川伸生、59歳。放送作家時代の1995年から回転寿司評論家を名乗り始め、昨年で30周年。全国の回転寿司を制覇し、未発掘の名店を世間へ紹介し、我が国の回転寿司の発展に大きな足跡を残してきた。

昨年末、師走の渋谷。金沢の名店『金沢まいもん寿司』の個室で、米川は30年間にわたる寿司にまみれた日々をしみじみと振り返る。

「今はね、日本全国を旅して回っているんですよ。先週は札幌、その前の週は沖縄、あと今年は石野真子ちゃんのコンサートに行ったかな。あとは寺尾聰さんも大ファンでして。やりたいことをやってます。でも回転寿司もね、旅とセットになるとすごいコンテンツになる。僕は以前から地方の特産を使った“ご当地回転寿司”を提唱していてね。回転寿司には寿司だけじゃなくて地元の郷土料理やラーメンなんかもある。秋の北海道に行けばししゃも寿司が食べられたり。“その時期にその場所に行かなければ食べられない”寿司や料理はわざわざ行く価値があります。
一方で、回転寿司の市場規模が過去最高という話がありますが、それは大手チェーンの話で、日本の回転寿司の8割から9割は3店舗以下の中小なんですよ。この10年でその数は100企業ほど消えています。田舎に行けば行くほどね。経営者も職人さんも高齢化、息子は東京へ出て行ってしまい後継者不足。そういう理由もあるんだけど、僕から見れば消えるべくして消えている。つまり、普通の回転寿司では生き残れないってことですよ。わざわざ“その店に行きたい”と思えるような店にならない限り、どんなにいい店でも消えてしまった。本当にいい店で知られないまま消えてしまう店もある。そういうお店には、力になってあげたいとは思うんだけどね」

死ぬ前にやっておくべきこと】アーカイブ

「食べて美味しい、見て楽しい、感じて面白い」

回転寿司評論家・米川伸生
米川の視点は常に客視点だ。その店のおすすめがマグロやサーモンなど、“当たり前”を看板にする店は惹かれない。だが、同じネタでも、ちょっとした見せ方や工夫でお客さんを楽しませることはできる。

『回転寿司はアミューズメントパークである』

米川が30年間言い続けてきた揺るぎない思想だ。

「回転寿司のエンターテインメントって普通の人はマグロの解体ショーと考えるんだけど、僕の中では本当の解体ショーができる人は元『海鮮三崎港』にいた川股竜二ひとり。でもね、回転寿司におけるエンターテインメントの定義というのは、アミューズメントパークであること。つまり、『お客さんに喜んでもらうことをしよう』ってことなんです。例えば、マグロのレアな部位があったら、1000円で出すよりも、お客さん同士でセリをしてもらえば楽しいでしょう。函館で名物のホタテがあったら、釣りをしてもらって『釣れたら無料』になれば、やりたくなるでしょう。エンターテインメントの基本、食べて美味しい、見て楽しい、感じて面白いというものを求めてほしい。最初は地方の回転寿司をどうやってテレビに出そうか、それを考えるだけでも大変だった。でも、10年経てばちゃんとやってきた店は僕が居なくても全国放送で取り上げられるようになって、今も人気店として続いているからね」

今では回転寿司の番組や雑誌の特集には必ずと言っていいほど識者として顔を出し、テレビ東京系列『TVチャンピオン』の「回転寿司通選手権」で他を寄せ付けず圧勝したほど回転寿司の表も裏も知り尽くした男である。

全国を行脚して回転寿司の見聞を広めたその知識にあやかりたいと、これまで多くの経営者が米川の門を叩いた。やがて評判が評判を呼び、いつしか評論家の枠を飛び出し、コンサルタントとして引く手あまたとなった。誰もが知る全国チェーンの大手から地方の個人店まで、これまで回転寿司店を立て直してきた実績は数知れない。

「まぁ、僕の話って特殊じゃないですか。特に地方のトップを張っているような回転寿司経営者はアンテナの高い人が多いから、常識外であっても、目からウロコの新しい話が聞きたいんだよ。昔ってやっぱり情報を得ることは大変だったからね。でも今はネットがあるでしょ。ちょっと調べれば分かるんだから、もう僕がどうこうしなくたって大丈夫なんですよ。今は講演だとかそういう依頼があっても、『もう話せることは全部話し尽くした』と言って断っているんです。番組に呼ばれりゃキライじゃないから出るけどね(笑)」

米川はダハハと豪快に笑い寿司を喰らう。豪華絢爛で趣向が凝らされた北陸の名物を使った飾り寿司。驚くほど美味い。この金沢まいもん寿司も、今では全国20店舗以上を展開する超人気となったのも頷ける。

「この30年で、回転寿司は大きく変わりましたよ。バブルの時代なんか正義はカウンターの寿司だから、回転寿司に女の子を連れて行こうなんてしたら入り口で帰っちゃったからね。それでもね、僕は回転寿司が“プロレス”と同義だったあの時代が一番好きなんですよ」

取材・文/村瀬秀信

「週刊実話」1月22日号より

配信元: 週刊実話WEB

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