
トミー・バストウさん(時事通信フォト、2025年2月22日撮影)
【画像】え…っ! 「めっちゃ美味そう」「ザリガニのスープ?」 コチラがかなり食いしん坊だった小泉八雲が出した「料理本」です
今後はトキたちもパン食か
2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は、1890年に来日し、『知られぬ日本の面影』『怪談』などの名作文学を残した小泉八雲さん(パトリック・ラフカディオ・ハーン)と、彼を支え、「再話文学」の元ネタとなるさまざまな怪談を語った、妻・小泉セツさんがモデルの物語です。
第15週74話では、主人公「松野トキ(演:高石あかり)」が、夫「レフカダ・ヘブン(演:トミー・バストウ)」が「山橋薬舗」でこっそり洋食を食べているのを見付けてしまいました。日本式の生活に合わせ、松野家では日本食ばかり食べていたヘブンですが、やはり洋食が恋しかったようです。
続く75話のあらすじを見ると、「山橋(演:柄本時生)がシェフとして料理をふるまう山橋西洋料理店にヘブンはコソコソ通っていたのだった。錦織(演:吉沢亮)との打ち合わせとウソをつかれ、さらに自分の料理は食べず西洋料理を味わうヘブンに、トキは怒り心頭」と書かれており、修羅場になると思われます。
ヘブンのモデルであるラフカディオ・ハーンさんは、日本食も食べ、日本の生活様式を好んだ人物ですが、食の好みは西洋式のまま変わらなかったそうです。40歳で来日したため、さすがに食事のスタイルを変えるのは難しかったのでしょう。妻・小泉セツさんの手記『思ひ出の記』のなかでも、「(ハーンの好みは)食物や嗜好品ではビステキ(ビフテキ)とプラムプーデン(プラムプディング)」と書かれていました。
そんなハーンさんは松江時代に日本食中心で体調を崩したため、1891年11月に熊本に移住(第五高等中学校に赴任した)してからは、洋食中心の生活に切り替えたそうです。西洋化が進んでいた熊本は、ビールやワイン、肉、乳製品などの食材も手に入りやすい土地でした。ハーンさんは朝にゆで卵を2、3個食べた後、ブランデーを飲んで出勤していたといいます。
また、熊本で月給が松江時代の倍となる200円に増えたハーンさんは、松江中学の教頭で大親友の西田千太郎さん(錦織のモデル)への手紙で、わざわざ島根から料理人を呼び寄せたこと(結果的に生活費は安く済んだそう)や、洋食に切り替え一日の食事の回数も増やしたことで、松江に住んでいた頃よりも20ポンド(約9kg)も太ったことなどを語っていました。
第15週でヘブンが洋食を求めていることが判明し、今後トキたちがどう対応するのかも注目です。第20週(2月16日より)からスタートする「熊本編」では、「クマ(演:夏目透羽)」という女中が登場し、「毎朝一家全員分のパンを焼く」ことが発表されています。
どうやら、今後はトキたちも西洋式の食事をすることになるようです。おなじみのシジミ汁を飲む場面は、松江を去るタイミングで見納めになるかもしれません。
※高石あかりさんの「高」は正式には「はしごだか」
参考書籍:『八雲の妻 小泉セツの生涯』(著:長谷川洋二/潮出版社)、『ラフカディオ・ハーン 西田千太郎 往復書簡』(訳:常松正雄/八雲会)
