
『鬼滅の刃 柱稽古編』ティザービジュアル (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
【画像】切なすぎる兄弟愛に「涙」 こちらが『鬼滅』兄・実弥が体を張って守った大切な「弟」です
神回なのは間違いないけど、なぜ父の日に?
クリスマスや恋人の日に『School Days』を一挙配信するなど、アニメ界隈では、放送日や配信日にどこか「他意」を感じさせる采配がたびたび話題になります。よりによって「父の日」や「母の日」に、なぜあんなエピソードを……。リアルタイムで視聴していた人たちのなかには、忘れられない記念日になってしまったという人も多いのではないでしょうか?
2024年に放送された『無職転生 II ~異世界行ったら本気だす~』の第22話は、その代表的な例といえます。「転移迷宮編」における最大の山場である同エピソードでは、主人公の「ルーデウス」たちが「魔石多頭竜(マナタイトヒュドラ)」と激闘を繰り広げる展開が描かれました。
その激戦の最中、窮地に陥ったルーデウスを庇う形で、父「パウロ」が致命傷を負い、命を落としてしまいます。物語の流れを知っていても胸に迫る、あまりにも突然な親子の別れでした。
そして多くの視聴者の記憶に強く残った要因が、このエピソードの放送日です。よりによって第22話がオンエアされたのは、「父の日」でした。副題が「親」であったことも相まって、「ヒトの心ないんか」「鬼畜すぎる」「わざと……だよね?」「サブタイトルが『親』なのが本当につらい」などと、強い衝撃を受けた人は少なくありません。
対となる「母の日」にも、忘れがたいエピソードを放送した作品がありました。特にアニメファンのあいだでよく知られているのが、『鬼滅の刃 刀鍛冶の里編』の第6話です。
この回では、不死川兄弟の過去が明かされます。彼らの母親は小柄な身体ながら、朝から晩まで働きづめで家計を支え、幼い子供たちを育て上げてきた存在でした。父親から暴力を振るわれても、その身を挺して子供たちを守っていたといいます。しかしそんな母親がある日、鬼となって理性を失ったまま我が子に牙を剥いてしまうのです。
しかも暴走した母親を止めるため、彼女に自ら手をかけたのは兄の「実弥」でした。我が子を殺し、我が子に殺されるという、母子の関係が断ち切られるエピソードが「母の日」に放送されたことで、多くの視聴者の心に強烈な爪痕を残す回となりました。ちなみに、2024年の再放送では5月5日、こどもの日に放送されています。
わざわざ父の日や母の日に、心をえぐる展開が重ねられるのも十分に酷な話ですが、アニメ史を振り返ると、ここまで紹介した例を軽く凌駕する作品も存在します。『Fate/Zero』は、もともと数々のトラウマ描写で知られていますが、実はその多くが「ネガティブな意味」で特定の日とリンクしていました。
例えば、主人公の「衛宮切嗣(えみや きりつぐ)」が抱える幼少時代のトラウマを描いた第18話「遠い記憶」が放送されたのは、「こどもの日」でした。このエピソードでは幼い切嗣が父「矩賢(のりかた)」を自分の手で殺害しています。
さらに翌週の「母の日」に放送された第19話「正義の在処」では、師匠であり親代わりでもあった「ナタリア・カミンスキー」が乗っていた旅客機を、切嗣が苦渋の決断の末にスティンガーミサイルで撃墜。そこから約1か月後の「父の日」に放送された第24話「最後の令呪」でも、幻のなかとはいえ、自身の妻と娘を手にかける場面が描かれました。
この絶望的な3連コンボは、放送日と使用武器をもじって、「こどもの日トカレフ」「母の日スティンガー」「父の日コンテンダー」と呼ばれています。記念日とトラウマがここまで歪に結びついた作品は、後にも先にも『Fate/Zero』だけではないでしょうか。
