
『連続テレビ小説 ばけばけ Part1 NHKドラマ・ガイド』(NHK出版)
【画像】え…っ!「身長一緒なの可愛い」 コチラが今後再現されそうな『ばけばけ』モデルの「家族写真」です
マーサ「レフィ」、イライザ「レフカダ」、トキ「ヘブン先生」
2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は、1890年に来日し、『知られぬ日本の面影』『怪談』などの名作文学を残した小泉八雲さん(パトリック・ラフカディオ・ハーン)と、彼を支え、「再話文学」の元ネタとなるさまざまな怪談を語った、妻・小泉セツさんがモデルの物語です。
第15週では、主人公「松野トキ(演:高石あかり)」が、夫「レフカダ・ヘブン(演:トミー・バストウ)」から、呼び方について指摘を受けました。トキは女中時代から引き続き「ヘブン先生」と呼んでいましたが、彼は「ヘブンさん」と呼んでほしいといいます。しかし、トキは恥ずかしがってしまいました。
今後トキが「ヘブンさん」と呼べるのかも気になるところですが、視聴者からは
「家族になったからヘブン先生はおかしい、今日からはヘブンさんだ、と決まったけどそもそれは名字で、レフカダが名前ですよね?」
「家族になって先生呼びは止めさせようとするけど、それでも、レフカダではなくヘブンなんだね。トキもヘブンじゃないの」
「松野家の人たち、ヘブンが苗字でレフカダという名前があって、親しくなったら名前呼びするのがあちらの習慣だって知らないのでは……?」
と、なぜファーストネームの「レフカダ」で呼ばないのか、疑問の声も出ています。
これまでの描写を振り返ると、ヘブンの元妻「マーサ(演:ミーシャ・ブルックス)」は、彼を「レフィ」と呼んでいました。また、元同僚の「イライザ・ベルズランド(演:シャーロット・ケイト・フォックス)」もヘブンを「レフカダ」と呼んでいます。
英語の知識がないトキたちは、レフカダが名前だと気付いていないだけとも考えられますが、『ばけばけ』では史実での小泉セツさんの呼び方を重視しているのかもしれません。
セツさんが夫のハーンさんを日常生活で何と呼んでいたのか、詳細な記録はありませんが、基本的には「ヘルンさん(出雲訛りのハーンさんの呼び名)」「パパさん」と呼んでいたと思われます。
お互い日本語、英語が拙いふたりは「ヘルンさん言葉」と呼ばれる、動詞・形容詞の活用系を使わず、英語と日本語を混ぜた独自の言語でやり取りをしていました。有名な例では1904年の夏、避暑地の静岡の焼津にいたハーンさんから、東京の西大久保の自宅のセツさんに宛てられた手紙の一節があります。
こちらは「スタシオンニ タクサン マツノ トキ アリマシタナイ」というもので、意味としては「駅(station)で、待ち時間があまりありませんでした」です。この文の「マツノ トキ」から、『ばけばけ』ヒロイン「松野トキ」の名前が生まれています。
また、セツさんはハーンさんの死後に残した追想録『思ひ出の記』のなかで、彼を「ヘルン」と呼び、日常生活でお互いに「パパさん」「ママさん」と呼び合っていたことを語っていました。おそらくハーンさんをパパさんと呼ぶようになったのは、1893年11月に長男の一雄さんが生まれた後だと思われます。
一雄という名前は父の「ラフ”カディオ”」からとられたもので、その一雄さんも著書『父小泉八雲』のなかで、セツさんがハーンさんをパパさんと呼んでいたことを振り返っていました。
もちろんファーストネームの「ラフカディオ」や、1896年に帰化して生まれた日本名「八雲」で呼んだこともあったかもしれませんが、詳細は不明です。
『ばけばけ』第1話冒頭では、結婚して数年経った状態と思われるヘブンが、トキを「ママさん」と呼んでいました。今後トキの呼び方は、「ヘブンさん」「パパさん」と変化していくと思われます。まずはいつ「先生」がとれるのか、注目です。
※高石あかりさんの「高」は正式には「はしごだか」
参考書籍:『八雲の妻 小泉セツの生涯』(潮出版社)、『セツと八雲』(朝日新聞出版)
