WECでトヨタが苦戦している。6年連続コンストラクターズチャンピオンに輝いたチームが、今季は表彰台なし。ホームレースの富士でも、ポールポジションは全く望めない状態だった。
ニック・デ・フリーズがアタックを担当した7号車は、アタックにミスがあったとはいえ14番手。8号車は平川亮が渾身のアタックでハイパーポールに進出したが、首位から0.835秒差の8番手となった。
その要因の大部分を、性能調整(BoP)が占めているのは明白だ。ただ、そんな中でもトヨタは現状をなんとかしようともがいている。
「予選は僕らのクルマは14番手ということで、かなり厳しい予選ポジションです」
チーム代表兼7号車のドライバーである小林可夢偉は、そう予選を振り返った。
「ニックもうまくアタックをまとめられなかったとは言っているものの、トップとはかなり離れているので、何ができるか、しっかりチームと解析しながら、明日に向けて準備していきたいなというふうに思っています」
直近の数レースと比べて、ポジティブなところは見つかったかと問われると、小林は現在チームが取り組んでいる”チャレンジ”について、次のように語った。
「我々のホームレースということで、かなり意気込んできたんですけれども、ケツに火がついている状態で挑んでいます。正直言うと苦戦してて、何がポジティブかって言うと、もう無くすものがない状態で、いろいろチャレンジしようというところですね」
「レースペースも速いわけでも、自信を持っているわけでもないので、ナチュラルには表彰台を取れません。いわゆるストラテジーであったりセットアップで今までやったことないこともやりつつ、何か良いモノを見つけられたが、それは今後につながると思っています」
「逆に今までそういうチャレンジをしてこなかったっていうところが今に至っている部分もあると思います。今エンジニアもドライバーも、かなり時間をかけて解析などをやっていて……どちらかというと今は精神コントロールの方が大変かなと。みなさん熱くなっているので」
「でもそういうところが人を鍛えていい車を作るみたいなところにつながると思いますし、やっぱり仲良しごっこでは勝つこともできないと思います。自分らの意見を言い合って、速いクルマを作るためにしっかりやっていければなというふうに思っています」
「すぐに結果が出るとは思ってないんですけども、この辛い時間をどういうふうに使うかが、あの今後につながるかなと思っています」
そうした中で、7号車と8号車の状態が揃っていないことが問題となっていると小林は明かし、特に7号車は不安定になっているという。
「2台が揃っていない理由が残念ながらちょっと分からなくて、色々ガチャガチャやっています。8号車は安定しているんですけど、僕らがアップダウンしてちょっと迷走気味です」
「今日、僕がちょっとこれをやってほしいっていうことをやったので、それでも変わらなかったら、揃えるために最終戦バーレーンに向けてクルマをガラッと変えた方がいいのかなと考えています」
母国レースの富士も、チャレンジの一環となっているトヨタ。決勝レースで光明を見つけられるか、期待したい。

