
2026年、表現者としてさらなる飛躍が期待される声優・野中ここな。彼女が10代の集大成として世に送り出す1st写真集「うたかた」が発売された。さまざまな作品で見せるプロフェッショナルな姿とはまた異なる、故郷・長崎の街に溶け込んだ素顔を閉じ込めた今回の一冊。3日間かけて行われた撮影エピソード、そして10代最後の心境について話を聞いた。
■写真集を作らせていただけるからには、自分の理想の一冊にしたい
――写真集は子供の頃からわりと身近なものだったそうですね。
母が仕事の関係で、雑誌や写真集を集めていたんです。だから自分で買わなくても、自然と目にしたり、めくったりすることが多くて。本屋さんに行くのも好きで、レジ前には大体その時々の最新の写真集が並んでいるんですよ。それを見て「これが今の旬のアイドルさん、俳優さんなんだ」と知ることもありました。
――そんな“写真集”を自分が出すと聞いたときは?
「私が出させていただけるんだ!」という驚きと喜びの両方がありました。「本当に自分でいいのかな?」という不安もなくはなかったですが、作らせていただけるからには、自分の理想の一冊にしたいなって。出身地である長崎県でのロケ地決めや衣装のフィッティングなどの準備段階から、制作の過程を楽しませていただきました。
――タイトルの「うたかた」に込めた思いを教えてください。
10代には「儚い」とか「すぐに消えてしまう」といったイメージがあって。まだ大人になりきれないけれど、子供でもいたくないという、10代ラストの今の気持ちを表せる言葉を考えたときにも、これがいいなと思いましたね。10代ならではのポップ感や親しみやすさを出したくて、表記はひらがなにしました。

■10代と20代の間という、本当に“今”しか出せない表情が詰まっている
――撮影の思い出についても伺いたいです。白いドレスのような衣装で、お馬さんに乗っているページがありますね。
乗馬体験ができる施設に行かせていただいたのですが、すごく楽しかったです。私が乗ったお馬さんは、足の部分が靴下を履いているみたいに白くなっていて、それがすごくかわいくて。私が撮影した後にも家族連れがいらっしゃって、お子さんが乗ったりしていたので、人気のスポットなんだなと思いました。皆さんも、長崎に行かれたらぜひ!(笑) 写真集を見て、お馬さんの特徴を覚えて、ぜひ会いに行ってほしいです。
――動物は人間が怖がっていると伝わると聞きますが、最初からフレンドリーに接することができましたか。
はい。最初から「いい子だね、いい子だね」って、すごくフレンドリーに接しちゃいました。お馬さんは普通、強く引っ張らないと止まってくれないそうなのですが、その子はそんなこともなく、動きもどこか優雅で。私がリードしなくても通じ合えているような、本当にお利口なお馬さんでした。

――他にもグラバー園や眼鏡橋、長崎市民総合プールなど、有名なスポットも回られたそうですね。
カメラマンさんやスタッフさん、そして長崎という場所の力もあって、周りの目を気にしすぎることなくリラックスして撮影に臨めました。知らない場所でのロケだと、まず場所に緊張して表情も硬くなってしまう気がしたんです。いいモノを作るためには「いい場所で、いい自分でありたい」と思っていたので、長崎にして大正解でした。
――そんな心許せる場所だったからでしょうか。夜の街でのカットは大人っぽい姿にドキッとさせられます。
長崎市内で撮ったものですね。褒めていただけるとうれしいです。10代と20代の間という、本当に“今”しか出せない表情が詰まっていると思うんですよね。今までの私はあまり感情を表に出すほうではなかったというのもあって、ファンの皆さんは、この写真集に詰まっている飾らない表情をきっと喜んでくれるんじゃないかなと思います。

■「やりたいと思った気持ち」を大事にするだけでも後悔は減ると思うんです
――改めて、10代という時間はどうでしたか?
そうですね…。母が以前、「明日死ぬかのように生きろ。永遠に生きるかのように学べ」という言葉を教えてくれたことがあって。
――ガンジーの名言ですね。
はい。その言葉どおり、私の中の学びへの探求心は尽きなくて。自分はまだまだ知らないことが多いのですが、それがたとえ周りに「そんなことも知らないの?」と言われるようなことでも私にとっては「新たな学びだ、面白い!」と“喜び”になるんです。
――知らないことを、新たな感覚が加わる楽しみとして捉えているのですね。
初めて触れる感性や言葉が、自分の感覚の中に加わっていくことが楽しくて。これからも積極的に学ぶ心を持ち続けて、明日何があってもいいように、自分のやりたいことは大切にしていきたい。もちろん、すべてが思いどおりにはならないし、不可能なこともありますが、「やりたいと思った気持ち」を大事にするだけでも後悔は減ると思うんです。そんなふうに生きていこうと思えた10代でした。
――10代で、やり残したことはないですか。
(即答で)ないです! やりたいことは全部できましたし、楽しみたいと思ったことはすべて楽しみました。10代のうちに叶えたかった初ディズニーや、友達のお家でのお泊まりもできたので、満足、満点です!
取材・文=川倉由起子 ヘアメイク=田村直子 スタイリング=笠原百合

