
「性欲は若いほど強い」
そんなイメージを持っている人は多いかもしれません。
思春期や20代がピークで、年齢とともに衰えていく、それが“常識”のように語られてきました。
しかしエストニア・タルトゥ大学(University of Tartu)による6万7000人以上を対象にした大規模研究は、性欲が最も強くなる年齢層は、必ずしも若年期ではないことを示しました。
研究の詳細は2026年1月5日付で学術誌『Scientific Reports』に掲載されています。
目次
- 6万7000人のデータが示した「意外なピーク」
- 性欲は年齢だけで決まらない
6万7000人のデータが示した「意外なピーク」
研究者たちは、エストニア・バイオバンクに登録された成人6万7,334人のデータを用いて、性的欲求と年齢、性別、性的指向、家族構成、学歴、職業などとの関係を詳しく分析しました。
参加者の年齢は18歳から89歳までと幅広く、国民全体の約7%に相当する規模です。
参加者には、自身の「一般的な性的欲求の強さ」を評価してもらい、その結果を統計的に解析しました。
その結果、性的欲求は年齢とともに緩やかに低下する傾向があるものの、その変化は男女で大きく異なることが分かりました。
特に注目すべきなのは男性のパターンです。
男性の性的欲求は10代や20代で最高潮に達するのではなく、30代後半から40代前半にかけて最も高くなる傾向が示されました。
これは、これまで広く信じられてきたイメージとは大きく異なる結果です。
性欲は年齢だけで決まらない
この研究が示した重要な点は、性欲が単なる年齢の問題ではないということです。
研究者たちは、年齢や性別、性的指向、子どもの有無などの人口統計学的要因だけで、性的欲求の個人差の約28%が説明できると報告しています。
たとえば、加齢による性的欲求の低下は男女共通ですが、その落ち込みは女性のほうがより急激でした。
また、子どもを持つことの影響も男女で異なります。
女性では、子どもの人数が多いほど性的欲求が低い傾向が見られましたが、男性ではむしろ、子どもが多い人ほど高い欲求を報告する傾向がありました。
さらに、性的指向にも違いが見られ、バイセクシュアルやパンセクシュアルと自己認識している人々は、平均して高い性的欲求を示していました。
こうした結果は、性欲がホルモンや年齢だけで単純に決まるものではなく、人生の段階や社会的役割、生活状況と深く結びついていることを示しています。
変化する性欲は「自然なこと」
研究者たちは、この研究の目的を「人々を分類すること」ではなく、「安心につなげること」だと述べています。
性欲が変化すると、「自分はおかしいのではないか」と不安を抱く人は少なくありません。
しかし今回の結果は、性欲の強さやピークが人によって大きく異なるのは、ごく自然なことであると示しています。
若い頃よりも、むしろ30代や40代で欲求が高まる人がいても不思議ではありませんし、子育てや年齢によって変化するのも珍しいことではありません。
この研究は、性欲を「一律の基準」で測るのではなく、人生とともに変わるものとして捉える視点の重要性を、静かに教えてくれているのです。
参考文献
What a study of 67,000 people reveals about sexual desire and age
https://medicalxpress.com/news/2026-01-people-reveals-sexual-desire-age.html
元論文
Associations of Sexual Desire with Demographic and Relationship Variables
https://doi.org/10.1038/s41598-025-23483-0
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部

