裁判の焦点は「量刑」にほかならない。検察側の求刑は「無期懲役」、弁護側は「重くても懲役20年にとどめるべき」と対立している。
「少なくとも死刑求刑でなかったことに安堵しました。無期懲役を求刑されたのは、他の類似事件との兼ね合いもあります。02年の石井紘基議員の刺殺事件では無期懲役、07年の長崎市長射殺事件では一審で死刑、控訴審で無期懲役、最高裁でもそのまま確定しました。それらの比較から検察側も無期懲役より軽い求刑をしなかったのでしょう」(鈴木氏)
旧統一教会問題に詳しいルポライターの多田文明氏は「事件から裁判までに約3年4カ月かかっていることが、山上被告に有利に働くでしょう」と前置きし、こう続ける。
「現在に至るまでに、旧統一教会を取り巻く環境は大きく変わりました。高額献金などをめぐる問題で、25年3月に文部科学省の請求を受けて東京地裁が解散命令を出したり、同年9月に韓国では韓総裁が贈賄などの容疑で逮捕されたりと、信教の自由を超えて教団そのものに社会から厳しい目が向けられるようになりました。それだけに、山上被告の宗教二世として育った尋常ではない生い立ちなどを通じて政治テロというより、旧統一教会への恨みが発端になったとして『量刑に考慮して減刑すべき』という世論が醸成されていると思います」
昨年末には、韓国メディア「ハンギョレ新聞」が旧統一教会と日本政界の深い結びつきをスクープした。21年10月の衆院選で「我々が応援した国会議員の総数は自民党だけで290人」と、日本の旧統一教会が韓総裁に報告した内部文書が発覚。と同時に、19年7月には、日本の旧統一教会幹部と安倍元総理が少なくとも6回面会したことも報じられている。
「いずれも、旧統一教会において、日本側から韓国側に伝わる情報はまず真実だと考えていいでしょう。というのも、韓総裁は日本の信者にとって“メシア”の立場。きちんと真実を喋らないと地獄に落とされると教えられています」(多田氏)
結果として、銃撃事件によりカルト宗教と政界の癒着が白日の下に晒された形だ。1月21日、みずから十字架を背負うことを選んだ山上被告にどのような判決が下ることになるのか。

