NBA最高の選手に挙げられるコビー・ブライアントとレブロン・ジェームズ。両者は2003年のレブロンのNBA入りから16年にコビーが引退するまで、レギュラーシーズンで計22回対決した。通算成績は16勝6敗でレブロンが勝ち越しているが、プレーオフで顔を合わせることは一度もなかった。
もし優勝を懸けたファイナルの舞台で“トップ・オブ・トップ”のマッチアップが実現していたら、国内外で大きな注目を浴びていただろう。
“幻の頂上決戦”が、現実になる可能性が最も高かったのが2008-09シーズンだ。この年、コビー率いるロサンゼルス・レイカーズ、レブロン擁するクリーブランド・キャバリアーズは、どちらもカンファレンス1位でレギュラーシーズンを終了。
前年ファイナル敗退の雪辱に燃えるレイカーズは、プレーオフに入っても好調を維持。カンファレンス準決勝でヒューストン・ロケッツに最終第7戦まで粘られたものの、それでもコビーやパウ・ガソルらの活躍で2年連続ウエストを制した。
一方のキャブズは、1回戦とカンファレンス準決勝をどちらも無傷の4連勝で突破し、このままファイナルまで一直線と思われた。しかし、カンファレンス決勝で彼らの前に立ちはだかったのがドワイト・ハワードのいるオーランド・マジックだった。
のちにレイカーズで両者と共闘したハワードは、ファンの野望を打ち砕くことになったが、その背景にはリーグが望んでいた構図への反発心があったことを、NBAヨーロッパのインタビューで明かした。
「俺たちは、あのシリーズで完全に見下されていたことに腹を立てていた。シリーズが始まる前から、コビーとレブロンの人形が出てきて、みんなが『世紀のファイナルになるぞ』と話していた。でも俺たちは『違う。マジックが黙っていない限り、そんなことは起きない』と思っていたんだ」
当時のマジックはスター軍団ではなかったが、オールスター選手のハワード以外にも、フォワードにラシャード・ルイスとヒドゥ・ターコルー、ガードにジャミーア・ネルソン、レイファー・アルストン、ミカエル・ピートラス、コートニー・リー、ビッグマンにマーチン・ゴータットといった職人タイプの選手が揃っていた。
「キャブズと戦う時は、毎試合叩き潰すつもりだった。実際、かなり良い仕事ができたと思う」とハワードが語ったように、マジックはシリーズ初戦を制し、キャブズの出鼻を挫くことに成功。さらにホームでの第3、4戦もモノにし、第6戦ではハワードが40得点、14リバウンドの大爆発を見せ、4勝2敗でキャブズを粉砕した。
このシリーズでレブロンは、平均38.5点に加え、8.3リバウンド、8.0アシストと圧巻の数字を残したが、マジックの組織力には及ばなかった。
シリーズのハイライトのひとつが、ブザービーターで決着がついた第2戦だ。マジック2点リードの第4クォーター残り1秒、インバウンズパスを受けたレブロンがトップの位置から逆転3ポイントを沈め、キャブズが96-95で劇的な勝利を収めた。
ただ、ハワードはこの場面について「意図的な時計操作があった」と主張。「聞いてくれ。レブロンが打てるように、(オフィシャルが)少し時計を長く止めていたんだ。同じことは、デイミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)対ロケッツの場面でもあった。今はYouTubeがあるから、調べればわかるよ」
“スーパーマン”は、意味ありげな笑みを浮かべながら当時を振り返っていた。
構成●ダンクシュート編集部
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