それまで不振だった馬が突然、激走する。その理由のひとつに「ブリンカー」がある。
昨年暮れの有馬記念で2着に入ったコスモキュランダは、単勝オッズ111.5倍の超人気薄だった。それが並み居る強敵を相手に、アッと驚く大激走。競馬ファンを唖然とさせたのは、初めて着けたブリンカー効果によるものだった。
勧めたのは、過去に二度の騎乗経験があった横山武史。調教で試してみると、併せたデザートイーグル(3歳・未勝利)を楽に突き放してみせた。これはイケると思い、加藤士津八調教師に「集中して走れていたし、効果が感じられます。使ってみては」と進言したという。
レースでもその思惑はズバリ当たって、効果てきめん。最後はミュージアムマイルに差されたものの、持ち味の先行力をフルに生かしてしぶとく粘ってみせたのである。
1月12日のシンザン記念は9番人気のサンダーストラックが勝って、波乱となった。勝因はいくつかあるが、これも初装着ブリンカー効果が大きかったようだ。
序盤は行きたがっていたが、好位後ろのインに入って、なんとか我慢させる。直線では内に入り、残り1Fで右ムチを入れるとグーンと加速。最後はサウンドムーブに追い詰められながらも、クビ差しのいでみせた。
距離を短縮した成果もあったが、前走と違って最後までしっかり走ることができたのは、間違いなくブリンカー効果によるものだ。馬はまだ524キロの巨体を持て余している感じだが、馬体に芯が入ってくれば、マイラーとしていいところまでいけるかもしれない。騎乗したハマーハンセンはこれが2勝目となった。
ちなみにブリンカーは唯一、JRAに事前の届け出が必要な矯正馬具だ。それだけ重要性が高いため、新聞の馬柱には「B」と記載されている。チェックは欠かさないようにしたい。
しかし馬によっては逆に、ブリンカー着用が裏目に出ることがある。集中しすぎて力んでしまい、レースにならないのだ。
同じような効果が期待できるチークピーシーズは、枠順や天候が分かってから使用できるため、試しやすい。使用するケースが目立つようになったことには、そんな理由があるのだ。
さて、今週18日の重賞、京成杯(中山・GⅢ)と日経新春杯(京都・GⅡ)で、馬柱に「B」の表記は…。
では、グッドラック!
(兜志郎/競馬ライター)

