まだ気温が30℃に達する真夏日があるなかだが、いよいよ下半期GⅠシリーズのスタートである。その第一弾は、秋のスプリント王決定戦・スプリンターズステークス(GⅠ、中山・芝1200m)だ。
昨年、本レースを制したルガル(牡5歳/栗東・杉山晴紀厩舎)、同じく一昨年の覇者ママコチャ(牝6歳/栗東・池江泰寿厩舎)、今春の高松宮記念(GⅠ、中京・芝1200m)の勝ち馬サトノレーヴ(牡6歳/美浦・堀宣行厩舎)が顔を揃えたこの1戦。GⅠの常連であるベテラン勢、次世代の短距離路線を背負って立つであろう4歳勢はもちろん、”短距離王国”として知られる香港からスプリントG1を4勝しているラッキースワイネス(せん7歳/香港・K.マン厩舎)も参戦する豪華なメンバー構成となった。
戦況はかなりの混戦模様だ。GⅠホースがいるなかでも絶対的な存在は見当たらず、一方でGⅠ実績がないながらも未知の魅力を備える4~5歳馬が少なくない。ファンにとっては悩ましくも、馬券的には楽しみな一戦だと言えよう。
そうしたなかでも、頭ひとつ抜け出していると考えられるのは、今春の高松宮記念を制したサトノレーヴだ。昨年の本レースは7着に敗れたものの、香港スプリント(G1、シャティン・芝1200m)が3着、高松宮記念が1着、チェアマンズスプリント(G1、シャティン・芝1200m)が2着、クイーンエリザベス2世ジュビリーステークス(G1、アスコット・芝1200m)が2着と、海外でも常に上位争いを演じている力は、実績的に他馬の一歩上をいっている。
気になる帰国後のコンディションだが、一週前の調教で一杯に追われ、当週の追い切りでは「7割から8割の力」(堀調教師)の強めで、2回ともジョアン・モレイラ騎手を鞍上で実施。プラン通りのトレーニングを積んで本番へと臨んできており、状態面の不安はない。ちなみにこれまでの休養明けの成績は〔2・1・0・1〕。中山実績も〔3・0・0・1〕と優れたもので、大崩れのシーンはなかなか考え辛い。昨年のように後手を踏む競馬にならなければ、テッペンを取らないまでも、馬券圏内から消えることはないだろう。よって、サトノレーヴを本命に推す。 続く2番手には、やや人気薄からジューンブレア(牝4歳/栗東・武英智厩舎)を抜てきする。十分にレース間隔を取りながら大事に使われ、昨年12月に2勝クラスの特別を、今年3月に3勝クラスの特別を勝ち上がってオープン入り。初の重賞挑戦となった函館スプリントステークス(GⅢ、函館・芝1200m)でレコード決着のハナ差2着に健闘すると、続くCBC賞(GⅢ、中京・芝1200m)でも半馬身差の2着に食い込んだ。出世には時間を要したが、軌道に乗ってからは順調そのもので、まだ能力の底を見せていない。伸びしろの大きさと、関西馬ながら中山は〔3・0・0・0〕というコース適性の高さを買い、逆転を狙う存在として対抗に指名したい。
4歳時に本レースを制し、桜花賞、ヴィクトリアマイルとGⅠを2勝したソダシの全妹、ママコチャは衰えるどころか、6歳となって再び充実期を迎えている印象。今年はオーシャンステークス(GⅢ、中山・芝1200m)を快勝したのち、高松宮記念が3着、京王杯スプリングカップ(GⅡ、東京・芝1400m)が2着、そして休養明けのセントウルステークス(GⅡ、阪神・芝1200m)が2着と、いずれも勝つか優勝争いに加わっている。前走でひと叩きされたあとは型通りに良化しており、叩き2戦目の〔5・0・0・1〕というデータもその傾向を後押している。サトノレーヴを逆転しても不思議ではない底力を高く評価して3番手に推す。
混線模様であるため、上記の3頭を主軸に据えながら、連勝系で幅広く流して高配当を狙いたい。
ナムラクレア(牝6歳/栗東・長谷川浩大厩舎)は前走の函館スプリントステークス(GⅢ、函館・芝1200m)の8着大敗が気になるが、スプリントGⅠ2着3回、3着2回を記録しており悲願の戴冠に臨む。ピューロマジック(牝4歳/栗東・安田翔伍厩舎)は逃げ一辺倒から脚質転換をはかってアイビスサマーダッシュ(GⅢ、新潟・芝1000m)で重賞3勝目を飾った。勢いはある。
トウシンマカオ(牡6歳/美浦・高柳瑞樹厩舎)は昨年の本レース2着馬。前走のセントウルステークス3着で叩き2戦目を迎え、状態はぐんと上向いている。カンチェンジュンガ(牡5歳/栗東・庄野靖志厩舎)はセントウルステークスを制し、あらためて1200mへの適性の高さを見せた。カピリナ(牝4歳/美浦・田島俊明厩舎)は函館スプリントステークスを1分06秒6というコースレコードで制した。スプリント界の新星が一気に頂点を掴むのか注目だ。ここまでの5頭を相手としてピックアップしたい。
なお、香港馬のラッキースワイネス、昨年の本レース覇者ルガル、大外に入った逃げ馬のウインカーネリアン(牡8歳/美浦・鹿戸雄一厩舎)は能力的にピークアウトした感があり、本稿では無印とする。
文●三好達彦
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