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「俺はキリストだ」3人の妄想患者を対話させた驚きの心理実験

「俺はキリストだ」3人の妄想患者を対話させた驚きの心理実験

3人のキリスト実験の結末とは?ロキーチ「妄想に陥っていたのは私の方だった…」

口論に疲れた3人は次第に互いの妄想に合わせて振る舞うようになったり、また「誰が本当のキリストか」といった話題を避けるようになりました。

彼らはそれぞれ「自分がキリストである」という信念を持ちながら、他の2人とうまく共生する方法を編み出し始めたのです。

例えば、クライド老人は「他の2人はすでに死んでしまっており、内側から機械によって動かされているだけなのだ」とロキーチに話すようになりました。

またレオンは2人の主張を「注目を集めるためにわざわざ嘘をついているんだろう」と考えるようになります。

それからジョセフは他の2人について、そのものずばり「妄想性の精神疾患を患ってしまったのだろう」と結論づけました。

その後も3人がそれぞれの信念を曲げることはありませんでしたが、お互いの関係性は実験開始時に比べて大きく変わっていました。

彼らは誰が本物のキリストかを議論するのをやめて、友達にさえなり、毎日のたわいもない会話をし合って、お互いを守り始めたのです。

3人が妄想から解き放たれることはなかったが/ Credit: canva

結局、3人を妄想から解放することはできないと判断したロキーチは2年間に及ぶ実験を終了し、彼らを解放しました。

ロキーチはこの実験内容をまとめ、1964年に『イプシランティの3人のキリスト』(The Three Christs of Ypsilanti )として出版します。

この研究は心理学者の間で話題を集めたものの、一部からはその非倫理的な実験内容について強い批判を受けています。

実際に3人のキリスト実験はレオン、ジョセフ、クライドに精神的苦痛や肉体的疲労を与えただけでなく、ロキーチが3人に心理的揺さぶりをかけようと、多くの不正や介入を行っていたからです。

こうした批判を受けて、ロキーチは自らの過ちを認め、1984年版の同書の後書きにて謝罪の言葉を記しています。

ロキーチは「たとえ科学の名においてだろうと、神のまねごとをしたり、日常生活へ夜昼なしに介入する権利が私にあるはずがない」と述べました。

さらに彼はこの実験で3人のキリストたちを治療することはできなかったが、「患者がその信念を捨てるよう操作できるという、自分を神のごとき存在と考える私の妄想は治った」と話しています。

ちなみにこの物語は2017年に『3人のキリスト』として映画化もされました。

トレーラーはこちらです。

参考文献

The True Story Behind The Failed Psychological Experiment Of The Three Christs of Ypsilanti
https://allthatsinteresting.com/three-christs

Three Thrown Over the Cuckoo’s Nest
https://www.damninteresting.com/three-thrown-over-the-cuckoos-nest/

ライター

大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。 他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。 趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。

編集者

ナゾロジー 編集部

配信元: ナゾロジー

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