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「僕は特別じゃなかった」“孫差別”の傷は成長しても消えない。男が未来の子どものために抱いた決意

「僕は特別じゃなかった」“孫差別”の傷は成長しても消えない。男が未来の子どものために抱いた決意

「あの気持ち、味わわせたくない」


そんなつもりじゃなかったのに(写真:iStock)

 数日後、里穂は義母に会った。ふとした拍子に、「健太がね、昔のこと覚えてて」と話すと、義母は驚いた顔をした。

「えっ、そんなつもりじゃなかったのに…」

 それが本心なのだろう。でも、“そんなつもりじゃない”は、受け取る側には通用しない。無意識の優しさの偏りは、確実に記憶として残る。しかもそれは、次の世代が大人になってから、静かに浮かび上がってくる。

 健太は最後にこう言ったという。

「だからね、もし僕に子どもができたら、同じことはしない。比べないし、温度差も作らない。あの気持ち、味わわせたくないから」

 孫差別は、その場では波風が立たないかもしれない。でも、時間差で確実に心を揺らす。

子どもは覚えている


覚えているよ(写真:iStock)

 愛情は、与えた側の自己評価ではなく、受け取った側の記憶で決まる。そしてその記憶は、思っているよりもずっと長く、深く残るのだ。

 人は忘れたつもりでも、子どもは覚えている。声のかけ方、視線の向け方、写真の枚数。ほんの些細な差が、やがて「自分はどう扱われていたか」という輪郭になる。

 優しさは平等でなくてもいい。けれど、偏りはいつか必ず、言葉になって返ってくる。

 だからこそ、大人が思う「このくらい」は信用できない。記憶に残るのは、与えた量ではなく、感じ取られた温度だ。

 気づかれないまま過ぎた差は、消えずに積もり、いつか静かに「覚えているよ」と語り出す。

(おがわん/ライター)

配信元: コクハク

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