■美貌を生かした華麗なる“変身”ぶりで一躍ブレイク!

1999年のドラマ「ゲット・リアル」で女優のキャリアをスタートさせたハサウェイ。ブレイクのきっかけとなったのが、上述の通り、映画デビュー作である『プリティ・プリンセス』だ。メグ・キャボットの「プリンセス・ダイアリー」を原作とする本作は、サンフランシスコで暮らす冴えない女子高生ミアが、ある日、自分が一国の王女であることを知らされ、王女教育を受けながら成長してくシンデレラストーリー。
役作りのためにスウェーデンのヴィクトリア王女の本を読み漁ったそうで、ミアの変身ぶりをハサウェイはチャーミングに体現。映画は全米興収1億ドルを超す大ヒットを記録し、続編『プリティ・プリンセス2 ロイヤル・ウェディング』(04)も作られたほど。ハサウェイもアイドル的人気を獲得し、一躍スターの仲間入りを果たすという劇中さながらのシンデレラストーリーを歩むことになった。

なお『プリティ・プリンセス3(仮題)』も製作が決定しており、2024年にハサウェイは自身のSNSで出演を発表済み。監督は、『クレイジー・リッチ!』(18)の脚本家アデル・リムが務めるとのことだ。
■『プラダを着た悪魔』などお仕事ムービーでヒットを連発!

そんな彼女のキャリアのなかでも、日本での人気を一気に高めるなどさらなる大ブレイクを呼んだ代表作が、ローレン・ワイズバーガーの小説を映画化した2006年の『プラダを着た悪魔』だろう。ジャーナリストを志す女性アンドレア(ハサウェイ)が、ファッション誌の編集長ミランダ(メリル・ストリープ)のアシスタントとして奮闘し、一切興味のなかったファッションの世界へとのめり込んでいく姿を描いている。

上司や同僚たちから嘲笑されるファッションセンスゼロの女性からの華やかな変身ぶりを象徴するクールな着こなしをはじめ、悪魔のような上司の要求に応えながら仕事のおもしろみに目覚めていく女性の覚醒をハサウェイがポジティブに体現した本作。大ヒットを記録し、いまなお“働く女性のバイブル”として挙げられるほどだ。そんな本作から20年越しの続編となる『プラダを着た悪魔2』が5月1日(金)に公開を控えており、価値観をアップデートした物語が繰り広げられるとのことで楽しみだ。
同じく仕事を題材とした作品『マイ・インターン』(15)も忘れてはいけない。ハサウェイ演じる、ファッション通販サイトを立ち上げた若き女性CEOのジュールズが、経験豊富な70歳のシニアインターンのベン(ロバート・デニーロ)との交流を通じて、様々なことを学んでいく。

ハサウェイは“憧れの人”ナンシー・マイヤーズ監督のもと、ニューヨークでファッション業界に身を置く都会派女性という、まるで『プラダを着た悪魔』のその後のようなキャラクターに扮しており、完璧でない一面を交えながら赤裸々な感情を表現し、多くの共感を呼んだ。
■体当たりの役作りでオスカーも受賞!演技派としての覚醒
コメディを主戦場にキャリアを築くと同時に、『ブロークバック・マウンテン』(05)といったドラマ作品にも出演し、幅のある芝居ができる“演技派”であることも示してきたハサウェイ。

2008年に主演したジョナサン・デミ監督作『レイチェルの結婚』では、ドラッグ中毒のリハビリ施設への入退院を10年間繰り返しているキムを演じ、姉レイチェル(ローズマリー・デウィット)の結婚式のため実家に帰ってきたものの、些細な言動から人生最良の日をぶち壊しかけてしまう危うさや、暗い過去に苦しみながらも愛情を求めもがく女性のせつなる心情を表現。第81回アカデミー賞で主演女優賞にノミネートされたほか、クリティクス・チョイス・アワードをはじめ数々の映画批評家賞に輝くなど、転機の一作となった。

その後、ジェイク・ギレンホールと共演したロマコメ『ラブ&ドラッグ』(10)では若年性パーキンソン病を患う女性を演じ、ゴールデン・グローブ賞ノミネートやワシントンD.C.映画批評家協会賞を受賞するなど演技力に磨きをかけ、これらを経てついにオスカーを手にしたのが『レ・ミゼラブル』(12)だ。
ヴィクトル・ユゴーの同名小説を原作とするミュージカルを映画化した本作では、結核で命を落とすファンティーヌを演じるにあたり、体重を約11kgも減量。また貧困のため自らの髪や歯を売る女性の悲惨な暮らしぶりをリアルに表現するため、坊主頭に。魂の役作りはもちろん、演技力や歌唱力も高く評価され、第85回アカデミー賞の助演女優賞ほか、英国アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞、全米映画俳優組合賞などを総なめにした。
ドラマシリーズは、デビュー作「ゲット・リアル」以来、それほど出演数は多くないが、クリティクス・チョイス・テレビジョン・アワードで映画/ミニシリーズ部門最優秀女優賞にノミネートされた「モダンラブ シーズン1」をはじめ「Solos 〜ひとりひとりの回想録〜」「WeCrashed ~スタートアップ狂騒曲~」などで印象深い演技を残している。

■『オデュッセイア』も待機中!ノーラン監督作にも多数出演

大作にも多く名を連ねており、特に『オデュッセイア』が控えるノーラン監督作には複数にわたって出演。ノーラン版バットマン三部作の最後を飾った『ダークナイト ライジング』(12)では、人気キャラクターの“キャットウーマン”ことセリーナ・カイルに抜擢され、黒革のセクシーなコスチュームに身を包み、強さと妖艶さと哀愁を漂わせたキャラクター像を浮かび上がらせた。

食料危機で滅亡間近の人類が、新たな居住可能惑星を探索する姿を描いた『インターステラー』(14)では、主人公クーパー(マシュー・マコノヒー)と共に計画を遂行する宇宙飛行士ブランド博士役で出演。科学者らしい冷静さを持ちながらも、愛の力を信じる情熱的な側面を持つ複雑なキャラクターとして物語を盛り上げた。
そして『オデュッセイア』では、マット・デイモン扮する主人公オデュッセウスの妻であり、絶世の美女として知られるペネロペを演じるとのこと。どんな美しい姿を見せてくれるのか楽しみだ。
■嫌われキャラを逆手に取った強メンタルを発揮!

またハサウェイといえば、完璧すぎるゆえの有名税なのか“ハサヘイターズ”という言葉がSNSで生まれるなど、なぜか一時は“嫌われ者”のイメージに苦しめられたが、そんなネガティブな要素でさえも作品に活かしてきた。例えば、製作総指揮も務めたSFコメディ『シンクロナイズドモンスター』(16)では、無職で酒浸りのダメダメ女性のグロリアが、韓国に現れた巨大怪獣となぜかシンクロしてしまい、世界から嫌われるという、自身の状況とも重なる世間からの理不尽な批判をセルフパロディ的に表現。

さらに女性怪盗チームの活躍を描く『オーシャンズ8』(18)では女優のダフネを演じるにあたり、「なにもかもが、芝居がかっている」という自身に寄せられた声をパロディにしたかのようなナルシストな人物として表現し、女優としての器の大きさを見せた。

2026年は、『プラダを着た悪魔2』『オデュッセイア』のほかにも、『グリーン・ナイト』(21)のデヴィッド・ロウリー監督が手掛け、ハサウェイが“伝説的ポップスター”を演じるA24作品『Mother Mary』や、『アンダー・ザ・シルバーレイク』(18)のデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督の新作『Flowervale Street』など、鬼才たちが手掛ける新作も待機中。このタイミングでアン・ハサウェイの過去作を楽しんでみてはいかがだろうか?
文/サンクレイオ翼
