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川崎所属16年で公式戦出場は「10」。それでも愛され続けた安藤駿介が残した偉大な足跡

川崎所属16年で公式戦出場は「10」。それでも愛され続けた安藤駿介が残した偉大な足跡


 川崎所属16年目、アカデミー時代を含めれば23年を数える。“アンちゃん”の愛称で誰からも愛された安藤駿介が、2025年限りで現役引退を発表し、新シーズンからアシスタントGKコーチに就任した。まさに縁の下の力持ちとしてクラブの歴史を築いてきた存在だ。改めてその想いに迫るインタビューシリーズである(第1回/全4回)。

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 世の中的に見れば、もしかしたら“ひっそり”という言葉が当てはまるのかもしれない。

 アカデミーから昇格し、1年だけ湘南へレンタル移籍したが、プロ17年で通算16年川崎に所属し続けたGK安藤駿介が昨年末プロ生活にピリオドを打った。11月に引退発表として出されたリリースに記された川崎での通算出場数は「10」。失礼を承知で言えば、華々しい舞台でスポットライトを浴びたわけではなかった。

 しかし、声を大にして言いたい。これほどクラブのために戦い、行動し、支え続けた選手はなかなかいない。プロとは結果を出して、ピッチに立ってナンボの世界なのは事実だ。だが、安藤は誰からも愛される模範となる偉大なフットボーラーであった。それも紛れもない事実である。

 誰よりも周囲を気遣う存在だった。
「常に自分の目線と架空の客観的目線を持つようにはしていましたね。何事も感情を除いたフラットな目で物事を見るようにしないと、みんな人だから、感情に左右されると、そもそも議論にならない。だからなるべく冷静な状態を自分で作るようにしていました。

 特別意識していたわけじゃないですけど、気付いたら周囲に何か一言、声をかけるようにはしていました。それがその選手にどれだけ響いているかは、僕には分からないですけどね。でも、感情的になっている選手にはマイナスな言葉はかけないとか、自分の形を持っている中堅以上の選手にはそこまで言わないとか、逆に若い選手が何かに怒りをぶつけていたらちょっと釘を刺すようなことは言うようにしていました」

 川崎にはそうやって苦しい時に、悩んでいる時に安藤に支えてもらった選手は多いに違いない。
“川崎のお母さん”という言葉もどこかしっくりくる。

「モノの考え方とか見え方は自分のなかでもだいぶ変化してきたとは思います。ただ、根底にあるのは、あまり自分勝手ではないと言いますか、何かをする時に考えるのは周りの人たちのことですね。

 若い頃は自己中心的な部分もあったかもしれないですが、僕も大人になるにつれて、そうなったのかな(笑)。保守的な性格なのかもしれないですが、リスク管理はやはりGKというポジション柄なのかなって。自分がよければ良いって考えは本当にこれっぽっちもないと言いますか。

 例えば何かをやろうって数人が集まるとしたら、自分以外の人が気持ち良くできることを基本的に考え始めて、ご飯に行くにしても、みんなの帰りのことを考えて場所を探したりする。『この場所だとこの人が遠くなっちゃうしな...』みたいな感じで。何かをやる時に相談を受けることも多く、そういうことをよく考えていますね。

 あとは、ピッチ外の活動に関しても後のことを考えちゃう。例えばラジオなど様々な仕事もさせていただきましたが、スタッフの方と『やりましょう』という話になる。でも、僕はやりたいのだけど、スタッフの方々の他の仕事や日程は大丈夫かと気になってしまう。ラジオは不定期でしたが、僕が『そろそろやりましょうか』と言えば、広報の方らの立場としては『やりましょう』と言うしかない。でも実際は『今は他の選手の取材がたくさん来ていて、忙しいから手が付けられない』という状況かもしれない。だから僕は『本当に空いている時でいいから。僕は一番最後でいいから』と言わせてもらうようにはしていました」
 常に周囲に気を配り、潤滑油になるような行動を意識してきた。自らの母とも考え方が似ているようだ。

「母親も僕が川崎のアカデミーにいた時に、音頭を取る人が他にいないからと、率先して行動をしていた。そうすると信頼関係が生まれ、人が集まるようになるわけですよ。『困ったら安藤さんに聞けばなんとかなる』みたいな雰囲気が生まれるんですよね。その意味で考え方の根底は母と似ているとは思います。でも母のほうが僕よりきめ細かいですけど」

 そう笑いながら人のために行動するのが安藤家の性なのだろう。母の背中を見て、父、姉、妻らに支えられ、歩んできた選手人生。愛着のある等々力での最後の一日には感動的な光景も広がっていた。

第2回に続く。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

【インタビュー・パート2】妻、家族に支えられた安藤駿介が川崎で引退を決断した運命的な一日。印象的だったセレモニー後の母の姿

【インタビュー・パート3】「僕のようになって欲しくない」フロンターレ愛を貫き、新米コーチとなった安藤駿介が志す指導者像とは

【インタビュー・パート4】「クラブが沈むのはJ2に落ちた時じゃない」「うちのスタッフは日本一働いている」安藤駿介が伝え続ける伝統と疎かにしちゃいけないフロンターレの魂
配信元: SOCCER DIGEST Web

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