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震災の教訓を世界へ 日本人の心に根づく共助を神戸から伝えるJICA関西とDRLCの取り組み

大きな災害は、時間が経つにつれて記憶の中から少しずつ遠ざかっていきます。
しかし日本では、30年以上前の震災の経験が、今もなお国内にとどまらず、世界へと受け継がれています。

兵庫・神戸を拠点に、各国の防災担当者が集い、日本の防災や復興の歩みを学ぶ取り組みが続けられています。そこで重視されているのは、最新の技術や制度だけではありません。地域の人たちが助け合い、困難を乗り越えてきた過程そのものです。

なぜ被災地で学ぶのか。
なぜ防災を「人づくり」として考えるのか。

震災の教訓を過去の出来事で終わらせず、次の災害に備える力へと変えていく。その静かな積み重ねが、神戸から世界へと広がっています。本記事では、その背景にある想いと取り組みに目を向けていきます。

防災を「人づくり」として考える場所

震災の経験を伝える取り組みの中心にあるのが、兵庫県神戸市に拠点を置くJICA関西と、そこに設置された国際防災研修センター(DRLC)です。

ここで行われているのは、災害が起きたときの対応方法だけを教える研修ではありません。防災を「制度」や「設備」として学ぶのではなく、それを支える人の考え方や行動にまで目を向けた人材育成が行われています。

研修には、アジアや中南米、アフリカ、ヨーロッパなど、さまざまな国や地域で防災を担う行政関係者が参加します。国や文化、災害の種類は違っても、共通しているのは「次に起こる災害にどう備えるか」という問いです。

日本が積み重ねてきた経験の中には、すぐに数字やマニュアルに落とし込めない学びも多くあります。地域で声を掛け合うこと、日頃から顔の見える関係をつくっておくこと、いざという時に迷わず動ける土台を整えること。JICA関西と国際防災研修センターでは、そうした目に見えにくい部分も含めて、防災を考える場が用意されています。

神戸という被災地で学ぶこと自体が、参加者にとって大きな意味を持ちます。過去の出来事を知識として学ぶだけでなく、その土地に刻まれた記憶や復興の歩みを感じながら、防災を自分ごととして考える。その実感こそが、各国に戻った後の行動につながっていきます。

なぜ世界の防災担当者は神戸で学ぶのか

防災の研修と聞くと、専門的な技術や制度を学ぶ場を思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし、ここで行われている学びは、それだけにとどまりません。世界各国の防災担当者が神戸を訪れる理由は、日本が経験してきた災害の「結果」ではなく、その「過程」に触れるためです。

神戸は、阪神・淡路大震災という大きな被害を受けながらも、長い時間をかけて復興してきた街です。その歩みの中で積み重ねられてきたのは、行政の仕組みだけではありません。地域の人たちが支え合い、役割を分け合いながら困難を乗り越えてきた記憶そのものです。

研修では、日本の災害事例をもとに、参加者が自国の災害リスクを見つめ直し、防災計画を考える時間が設けられています。答えをそのまま持ち帰るのではなく、それぞれの国や地域に合わせて考え直すことが重視されています。そのため、学びの中心にあるのは「どう応用するか」という視点です。

災害の種類や社会の仕組みは国ごとに異なります。それでも、人が暮らす地域で災害が起きるという点は共通しています。神戸での研修は、防災を特別なものとして切り離すのではなく、日常の延長線上で捉えるためのヒントを与えてくれます。

被災地という場所で学ぶことは、防災を机上の知識ではなく、自分たちの社会にどう根づかせるかを考えるきっかけになります。その実感こそが、各国に戻った後の行動につながっていきます。

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