
J1昇格の長崎、楽しみな新戦力がずらり。元J1得点王が早くも存在感。高木監督は「ひょっとしたら前線に4枚立てることも」
V・ファーレン長崎は昨シーズンのJ2を2位で終え、8年ぶりのJ1昇格を果たした。途中就任した高木琢也監督の堅実なマネジメントとJ2では豊富なタレント力を強みに、悲願の昇格を勝ち取ったが、J1で残留、さらに上位躍進を目ざすには戦術的なアップデートとJ1基準の補強、この2つを外すことはできない。
2月にスタートする百年構想リーグに降格はないが、来る26-27シーズンを待たず、長崎は積極的な補強を行なっている。セレッソ大阪からDF進藤亮佑、FC東京からGK波多野豪、アビスパ福岡からFW岩崎悠人、浦和レッズからFWチアゴ・サンタナ、J2に降格したアルビレックス新潟からはMF長谷川元希を獲得した。
そして沖縄キャンプ中の1月16日に、補強の目玉となりうるジャマイカ代表の俊足FWノーマン・キャンベルをデンマーク1部のラナースFCから獲得した。
もちろん現時点のコンディションを考えながら、チームとしては前からボールを奪いにいく守備や状況に応じたポゼッションも取り入れながら、90分の中でそれができる時間帯と難しい時間帯で使い分ける判断を共有している。
17日に行なわれたRB大宮アルディージャとのトレーニングマッチで、新戦力の選手たちも元気にアピールする姿を見せていた。とりわけ目立っていたのがT・サンタナだ。
1本目にスタメンで起用されたT・サンタナは、左からのクロスにうまく合わせて得点。「あの時点ではギャップを感じて、そこに入り込んだところで決められたのは良いことだと思います」と振り返る。
高木監督から与えられた守備のタスクもこなしながら、攻撃で危険な存在感を示した。新たな相棒となるマテウス・ジェズスとのコンビも良好だ。やはり同じポルトガル語で会話ができることはプラスだが、中盤を統率する山口蛍などの声にも助けられているという。
2022シーズンには清水でJ1得点王に輝いたT・サンタナは、浦和でも一昨シーズンは12得点を記録したが、昨年はグロインペインに悩まされて、長期の離脱を強いられたうえに、思うようにパフォーマンスを発揮できなかった。
しかし、終盤戦にはコンディションが戻ってきており、新天地では本来の輝きを取り戻すことへの期待は高い。本人も「去年は怪我に苦しんで、うまくいかずに悔しかった部分はたくさんあったので。それを繰り返さないように、怪我予防に取り組みたい」と語る。言い換えれば、怪我さえなければ長崎のために、ゴールを量産できる自信があるのだろう。
高木監督も「良い顔をしてるという話も聞くんですけど、彼自身も献身的にプレーしてくれてます」と目を細める。ただ、T・サンタナの活かし方で、ターゲットマンとして相手のセンターバックを背負うタイプでないことは、元日本代表FWの指揮官もすでに認識しているようだ。
「相手との競争になった時にスピード感がある。あとはフィニッシュの上手さはすごく良い」と高木監督。豊富なアタッカー陣をどう組み合わせていくかは、嬉しい悩みどころだろう。
さらに楽しみなのは長谷川だ。大宮戦でもゴールの起点になる“らしいプレー”を見せた長谷川に関して、高木監督は「ボールが元希に入って、そこからドリブルで運んで行ってという早い攻撃につながっている。ああいうリズムはすごく良かった」と前向きに評価する。左サイドを主戦場とする岩崎も攻守にわたり、躍動的な動きを披露。複数のポジションで計算できることも、長崎にとってプラスだ。
「サッカーを90分で考えると、そういう選手たちが揃っている方が、前半と後半の違いを生み出したりとか、変化をつけられると思う。ずっと90分間、18試合を戦える選手というのはなかなかいないと思うので。そういう意味ではいろんな状況に対応できる選手を持つことはすごく大事」と高木監督。多彩な攻撃が魅力の笠柳翼とも、面白い連係が期待できそうだ。
センターバックの進藤やGKの波多野も含め、彼らに共通するのはJ1での経験値だ。高木監督は「J1で戦ってきた選手の力と経験値は必要かなと思います。たとえば元希は新潟で降格した。うまくいかないことが長くあったと思うので、どういうことが必要かと。本人のプレーもそうですけど、チームがうまくいくために、どういう風にやらないといけないかというのを身を持って感じていると思う。そう言うのを活かしてほしい」と語る。
また、キャンベルに関しては、しなやかな身体つきが、いかにもスピードスターという雰囲気を漂わせる。長崎の印象について、キャンベルは「本当に良い人ばっかりです。皆さんに歓迎していただいて、試合を観ても良い印象しかありません。徐々にチームメイトを理解して、日本のサッカーに慣れていきたい」と語る。
高木監督は「スピードとか、変化を付けられる選手は他にもいるんですけど、彼も外国人として、ヨーロッパでやってきている。前目でできるのと、ひょっとしたら前線に4枚立てることもあるかもしれないし、そういう役割もできると思う。ボールの保持だけじゃなくて、早く攻めて、詰めるためにピースとしても活用できる」と期待を寄せる。
従来の主力も含めて、現時点ですべての選手のコンディションが完璧というわけではないが、メンバー構成の面ではJ1基準で見ても、かなり充実している。もちろんクラブとして、また新たなチャレンジとなるシーズンで、そう簡単にいかないことも多々あるだろう。そのなかで、どういったチーム内競争を繰り広げながら、まずは百年構想リーグを戦っていくのか、非常に楽しみだ。
取材・文●河治良幸
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