
イライザ役のシャーロット・ケイト・フォックスさんプロフィール写真
【画像】えっ「めっちゃ美人やん」「ちょうど1891年(29歳)のとき」 コチラが『ばけばけ』イライザのモデルの写真です
イライザはもう吹っ切れているのか
2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は、1890年に来日し、『知られぬ日本の面影』『怪談』などの名作文学を残した小泉八雲さん(パトリック・ラフカディオ・ハーン)と、彼を支え、「再話文学」の元ネタとなるさまざまな怪談を語った、妻・小泉セツさんがモデルの物語です。
第16週76話では主人公「松野トキ(演:高石あかり)」の夫「レフカダ・ヘブン(演:トミー・バストウ)」が、松江に来たばかりのときから書き続けていた「日本滞在記」を完成させました。タイトルは「Glimpses of Unfamiliar Japan」で、こちらは1894年9月に出版されたハーンさんの来日後初の著作『知られぬ日本の面影』の原題と同じです。
ヘブンもトキたち家族も大喜びのなか、少し不穏な瞬間もありました。ヘブンが、かつて松江にやってきた「イライザ・ベルズランド(演:シャーロット・ケイト・フォックス)」に手紙を出すというのです。約束していた日本滞在記が完成したことを報告するための手紙でしたが、イライザの名前が出るとトキの顔は曇っています。
SNSでは「仕事仲間だから当然なんだろうけどイライザさんにお手紙送るのはおトキちゃん的に複雑ね」「イライザさん、滞在記完成と結婚報告の手紙をもらって、泣くんだろうな」「イライザ、滞在記は楽しみにしてたけどおトキと夫婦になるのは残念がってるよ」といった反応が出ていました。また、イライザが再登場するのか気になっている人も多いようです。
ハーンさんはイライザのモデルであるニューオーリンズ時代の同僚、エリザベス・ビスランドさんと、生涯にわたって手紙のやり取りを続けていました。おそらく、ヘブンはこれからも定期的にイライザに手紙を送ると思われます。
1902年7月には、ハーンさんからビスランドさんに「12年前にあなたが『私はあなたが日本に行って、あなたがそれについて書くであろう本を読みたい』といったことを覚えているかもしれません」という手紙も送られており、ビスランドさんの言葉がハーンさんの来日の一因になったことは間違いないでしょう。
ただ、ビスランドさんはハーンさんと親しい関係ではあったものの恋仲になったことはなく、松江にも来ていません。彼女はハーンさんがセツさんと夫婦になったあとの1891年10月に、ニューヨークのエリート弁護士、チャールズ・ウェットモアさんと結婚しました。ハーンさんはそれ以降、宛名を「ウェットモア夫人」として、手紙を送っています。イライザも、そろそろアメリカで結婚するかもしれません。
そしてビスランドさんは、1904年9月にハーンさんが亡くなった後、自ら編集も担当した伝記『ラフカディオ・ハーンの生涯と書簡(The Life and Letters of Lafcadio Hearn)』(1906年)を発表しました。この本の収益は、残されたセツさんや小泉家の子供たちに贈られています。
さらに、ビスランドさんは何度か来日して東京の小泉家を訪れ、セツさんとも親交を持ちました。1922年には、ビスランドさんは松江の小泉八雲旧居も訪れています。『ばけばけ』がヘブンの死後まで描くのかは分かりませんが、イライザが彼の伝記を書くために再登場する可能性は高いでしょう。
またハーンさんは生前、長男・一雄さんの教育のために一緒に渡米することを計画しており(最終的には断念した)、ビスランドさんに協力を求めた記録もあります。今後も、イライザの名前は定期的に出てきそうです。
※高石あかりさんの「高」は正式には「はしごだか」
参考書籍:『八雲の妻 小泉セツの生涯』(潮出版社)、『小泉八雲 ラフカディオ・ヘルン』(中央公論新社)、『小泉八雲 漂泊の作家 ラフカディオ・ハーンの生涯』(毎日新聞出版)、『セツと八雲』(朝日新聞出版)
