ニュルブルクリンク24時間レースへの出場を熱望しているマックス・フェルスタッペン。しかしそれが今年可能かどうかは、その前哨戦であるNLS(ニュルブルクリンク耐久シリーズ)の日程にかかっている。マシンを提供するメルセデスは、フェルスタッペンが出場できるよう、F1のレース日程と被らないようにNLSのスケジュールを変更するよう、働きかけを行なっているとされる。
フェルスタッペンは昨年の12月、ポルトガルのエストリル・サーキットでメルセデスAMG GT3のマシンをテストドライブした。このマシンはVerstappen.com Racingのカラーリングをまとい、レッドブルのロゴも入れられており、後にVerstappen.com Racingは、このメルセデスAMG GT3を使って、2026年のGTワールドチャレンジ・ヨーロッパ(GTWCE)に参戦することを発表した。
そのフェルスタッペンはニュルブルクリンク24時間レースへの参戦を熱望しており、今年の同レースにウィンワード・レーシングから参戦する可能性があるとされていた。
そのウィンワード・レーシングは、メルセデスAMGのパフォーマンスチームとしてニュルブルクリンク24時間レースに参戦することを決定。フェルスタッペンのニュルブルクリンク24時間挑戦に向けたプロジェクトも。最終段階にあると見られる。motorsport.comの姉妹サイトであるMotorsport-Total.comの情報によれば、フェルスタッペンはメルセデスやレッドブル・レーシングだけでなく、親会社であるレッドブルからもニュルブルクリンク24時間レースへの参戦計画について承認を得たという。
しかしフェルスタッペンには最後のハードルが残っている。それは、ニュルブルクリンク24時間への参戦前に義務付けられている、準備レースに出場できるかどうか……つまりニュルブルクリンク耐久シリーズ(NLS)のいずれかに参戦できるかどうかということだ。
メルセデスはこれに向け、最大限の努力を行なっているという噂がある。メルセデスのオラ・ケレニウス代表とF1チーム代表/モータースポーツ責任者のトト・ウルフは、フェルスタッペンが出場できるように、3月14日に開催予定のNLS開幕戦の日程を延期するよう、働きかけを行なっているというのだ。このNLS開幕戦は、当初の予定通りで行なわれれば、F1中国GPの日程と重複している。
■NLS代表、延期について「要請は提出済み」
メルセデスAMGはNLSに対し、その開幕戦の日程延期を正式に要請している。現時点ではNLSの3レース全てと、24時間レース前の予選レースが、全てF1開催日程とかぶっている。
一部では、NLSの開幕戦が延期されることは既に決定しており、発表されていないだけであるという噂もある。しかしシリーズ責任者のマイク・イェーガー氏はこの噂を否定した。
「延期の可能性に関する要請は提出済みだが、それ以上のことはない」
当然のことながら、NLSはフェルスタッペンのためだけに行なわれるレースではない。参戦を予定しているチームやドライバーはもちろん、様々な利害関係者のことも考慮する必要がある。
日程の都合もある。NLS開幕戦の予定日の2週間後にはF1日本GPの開催が予定されている。つまり延期できるのは1週間しかないということだ。ただニュルブルクリンクは天候が変わりやすいため、それはリスクとも言える。
「現在検討中ではあるが、まだ何も決まっていない」
イェーガー氏はそう語る。
「全員の都合がつかなければいけない」
■フェルスタッペンはチームメイトに誰を選ぶ?
フェルスタッペンはニュルブルクリンク24時間レースに出場する時のチームメイトを、自ら選んでいるという。
現時点でフェルスタッペンが第一希望として挙げているのは、昨年のDTMでランキング2位だったルーカス・アウアーであるようだ。アウアーはかつてレッドブル・ジュニアチームに在籍していたこともあり、元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーの甥としても知られる。2019年には来日して、スーパーフォーミュラに参戦していたこともある。2014年のヨーロッパF3選手権にも共に参戦し、フェルスタッペン3位、アウアー4位でシーズンを終えた。
またシムレーサーのクリス・ルルハムもチームメイト候補のひとりだ。このルルハムは昨年のNLSでフェルスタッペンと共にエミール・フライのフェラーリを走らせ、優勝を経験している。その他、エストリルでフェルスタッペンがメルセデスAMGをテストで走らせた際に相談役となったジュール・グノンとダニエル・ジュンカデラも、候補であるとされる。
ジュンカデラは今季、ジェネシスのハイパーカーを駆ってWEC(世界耐久選手権)に参戦する。しかし、フェルスタッペンのGT3のプロジェクトにおいては、非常に重要な役割を果たしているとされる。シミュレーションレースへの造詣も深く、フェルスタッペンはこの点でも親交を深めているようだ。そしてフェルスタッペンは、メルセデスAMGに関する専門知識を、ジュンカデラから得たいという側面もありそうだ。
しかしその一方で、ニュルブルクリンク最速のドライバーのひとりであるマロ・エンゲルと組むことがなさそうだ。エンゲルはフェルスタッペンがニュルブルクリンクを初めて走った後、SNS上で激しい口論を繰り広げた。チームメイトとなる可能性は低そうだ。
エンゲルはメルセデスのファクトリードライバーであるルカ・シュトルツ、ファビアン・シラー、マキシム・マルタンと共に、ウィンワード・レーシングのメルセデスをテストする予定だ。一方でフェルスタッペンのマシンは、ウィンワード・レーシングからのエントリーながら、Verstappen.com Racingのカラーリングになる模様だ。製菓会社のハリボーも、スポンサーとなる可能性がある。
■フェルスタッペンは本気!
プロジェクトはまだ最終的には承認されていないが、フェルスタッペンは本気で準備を進めている。先週の火曜日と水曜日には、アルガルヴェ・サーキットで2シーズが使うメルセデスAMG GT3を走らせ、マシンに対する習熟を含めた。
なお木曜日には、デトロイトでレッドブル・フォードの発表会が予定されていた。それにも関わらず、フェルスタッペンは遠くヨーロッパで、ステアリングを握ったのだ。そこにも、フェルスタッペンのニュルブルクリンク24時間に賭ける意気込みが感じられる。

