この欲望を今叶えるか?将来叶えるか?
このように、欲望には知らぬ間に時間切れを迎えて叶えられなくなったものや、叶ったとしても感動できなくなるものがあります。欲望にもさまざまな種類がありますが、おいしくいただける「賞味期限」付きのものも多いのではないでしょうか。
“欲望を大切にする”と聞くと、目の前のすべてを叶えなければならないように感じるかもしれませんが、そうではありません。将来に備えて貯金をしたり、投資をしたりすることも人生を安心して生きるためには必要です。
ただ、将来への不安が強すぎるあまりに備えが過剰になり、未来のために今を犠牲にしすぎていないかは、ときどき立ち止まって考えてみてもいいかもしれません。今を味わうことと、未来に備えることのバランス感覚を身に付けることが重要です。
自分の中に欲望が生まれたときには、「今すぐ味わうから価値のあるもの」と「まだ置いておけるもの」に分けて考えてみましょう。また、“あのとき叶えられなかった自分の欲望”に縛られずに「今の自分が、何に心を動かされているか」をきちんと自覚し、ときどきウィッシュリストの整理や優先順位づけを行うこともおすすめです。
旬の欲望を味わうことは、わがままでも無計画でもありません。今の自分にとって何がおいしいのかを見極めることは、後悔のない人生を歩むために必要なスキルです。
「分不相応」という呪い
最後に、分不相応なものを手に入れるか?という問題についてです。私個人の経験からになりますが、ときに分不相応なものを勇気を出して手に入れることには大賛成です。これまでの自分の人生においては、今の自分には釣り合っていない分不相応なものが、いつも自分を次のステージに引き上げてくれ、新しい素敵な人や価値観に出会わせてくれたように思います。
また自分にとっては“背伸び”しなければ手に入れられないアイテムを、日常で当たり前に手に入れている人はどのような人かを垣間見れるのも、非常に勉強になる経験でした。
分相応なものばかりで固めると、そのゾーンから飛び出すことはこれから先もきっと難しいでしょう。もしあなたが今の流れを変えたいならば、思い切って憧れの分不相応なものを手に入れてみるのも大いにアリだと、私は思います。その分不相応への緊張感や居心地の悪さが馴染んできたころ、きっとあなたにとってそれは「分相応」なものとなっているはずです。
——そして、ここでひとつ安心してほしいことがあります。欲望の中には、年齢を重ねた自分だからこそ、楽しめるものや叶えやすくなるものも、確かに存在します。次回は、そんな「熟成させていく欲望」について、年齢を重ねてから始めた人たちの体験談とともに、掘り下げていきます。
