「ドジャースの横取り」が岡本和真を救ってくれた。
ドジャースがFA市場の大物スラッガーだったカイル・タッカーの獲得に成功したのは既報通り。4年総額2億4000万ドル(約380億円)という破格の契約であり、年平均6000万ドル(約95億円)は、チームで大谷翔平に次ぐ二番目の高給取りとなる。
「ドジャース打線の弱点が埋まりました。ナ・リーグの対戦チームからは、諦めムードに近い声が出始めています」(現地記者)
そのタッカーがドジャースとの契約を選択するまでの動きを追ってみると、ブルージェイズも熱心な交渉を続けていたことがわかる。メジャーリーグ東地区の事情に詳しいアメリカ人ジャーナリストによれば、ブルージェイズがタッカーに提示していた条件は、10年総額3億5000万ドル(約553億円)。「年平均ではドジャースの方が高いが、トータルではブルージェイズ」ということになる。
「メッツとヤンキースもタッカー獲得に動いていました。タッカーは長期契約を臨んでいるとの情報があったので、ブルージェイズを選択すると予想されていましたが…」(前出・現地記者)
それでもタッカーを振り向かせたのは、ドジャースの交渉能力の高さとしか言いようがない。だが、タッカーのドジャース選択で救われたのが、ブルージェイズ入りした岡本和真だ。
「ブルージェイズの外野には、本塁打王争いの常連であるアンソニー・サンタンダー、俊足堅守のドールトン・バーショ、ベテランのジョージ・スプリンガーがいる。さらには強打の若手も控えています。今季はスプリンガーがDHに専念するようなので、岡本がレフトに入ると予想されています」(前出・現地記者)
外野手のタッカーは、守備でも優れた指数を残している。ブルージェイズは岡本を獲得した後も、タッカーとの交渉を続けていた。岡本の獲得でも、スプリンガーのDH専念後の外野は埋まっていない、と判断していたわけだ。とはいえ、
「正三塁手のアーニー・クレメントをショートにコンバートし、岡本のサードでのデビューも予想されています」(前出・アメリカ人ジャーナリスト)
メジャーリーグで三塁を守った主な日本人選手といえば、岩村明憲、川崎宗則が思い出される。彼らは失策が多かったわけではないが、のちに他のポジションにコンバートされている。
メジャーリーグで三塁を守る難しさを考えると、ブルージェイズのタッカー獲得失敗は、岡本にとってはプラス以外の何ものでもない。岡本が正三塁手に挑戦する上で「ダメならレフト」の保険を得たのは大きい。
(飯山満/スポーツライター)

