
「変なプライドは捨てて…」福岡加入決定のU-23日本代表FW道脇豊は、なぜ移籍を決断した? ベルギーでの苦悩と熊本との別れ【現地発】
日本時間1月19日の18時、ロス五輪世代のエース候補であるFW道脇豊の福岡への完全移籍加入が発表された。
現在、道脇はU-23日本代表の一員としてU-23アジアカップを戦っている最中。リリースが発表された際は、20日の準決勝・韓国戦に向けて練習を行なっていた。
もともと噂が報じられていたこともあり、チームメイトたちも移籍に驚きはなかったのだろう。練習後には同年代の気心知れた仲間たちから、「移籍が発表されていたね」と声をかけられる姿があった。
新天地での新たなスタート、そして韓国戦に向けて闘志を燃やす道脇。ただ、ここに来るまでの道のりは決して平坦ではなかった、
中学時代から熊本の育成組織に籍を置き、ユース昇格直後の2022年3月に15歳で2種登録選手としてJ2のベンチを経験すると、シーズン終了後にクラブ史上初の飛び級でプロ契約を結んだ。
世代別代表の常連でもあり、23年夏のU-17アジアカップ、同年秋のU-17ワールドカップにも出場。24年7月には慣れ親しんだ熊本を離れ、期限付き移籍でベルギー2部のベフェレンに加入した。
希望と夢を胸に海を渡った18歳の夏。だが、順調に事は進まず、初の欧州挑戦では厳しい現実を突きつけられる。1年目のシーズンこそ21試合で7ゴールを挙げたが、2年目は苦しんだ。
「ベルギーで試合に出られない。日本人はチームで自分だけだし、難しい状況に身を置いて1年半やってきた」
誰かに助けを求められるわけではない。愚痴のひとつを吐きたくても、誰かに会って日本語で会話はできない環境。さらに同じロス五輪世代で自分と同時期にヨーロッパにやってきたFW塩貝健人(NEC/オランダ)や、自身より半年前に海を渡ったFW後藤啓介(シント=トロイデン/ベルギー)らが結果を出していくなかで、焦燥感に駆られた。
「どうしても周りの選手と比較してしまうことが多かった。近くにいた塩貝とか後藤が同じフォワードで同じ年代で、もう活躍をしている。そういう焦りはあった」
自分に言い聞かせるように、辛抱強くチャンスを待った。
「フォワードは点を取って流れに乗ったら変わる。そういう意味では自分もその流れを掴めるチャンスが来るまで、しっかり我慢をしてやるべきことをやっていくだけ」
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目標としていた昨秋のU-20W杯出場も逃した。そして、今季ベルギー2部で首位を走っている好調のチームにおいて、自身の序列を上げるのも厳しい状況だった。
「自分のライバルであるフォワードがたくさん点を取っているし、アシストもしている。かなり難しい状況で、自分はベンチに座っている。あと半年こっちにいるよりも、環境を変えてやり直していかないといけない」
そうした状況下で声をかけてもらったのが福岡だった。年明け前からオファーをもらっており、環境を変えるチャンスが訪れた。一方で何も成し遂げられていない悔しさもある。欧州に来たからには尻尾を巻いて逃げ出すわけにはいかない。そういう想いも確かにあったが、最終的には自身の成長を考えて、日本に戻る意思を固めた。
「こっちに残り続ける選択肢もあったけど、自分としては足りないところがたくさんあった。変なプライドは捨てて、1回日本に戻って、J1というレベルが高い環境で能力を高めたいなと思ったので移籍を決めた」
もちろん、お世話になった熊本を正式に離れるため、複雑な感情はある。だが、決断を下した以上、後ろは振り向かない。
「ずっとお世話になって、プロサッカー選手に初めてなれたチームでもある。ずっとサポートをしてくれていたので、本当に感謝しています。申し訳ない気持ちもあるけど、自分の成長のためにしっかりやっていかないといけない」
福岡に合流するのはU-23アジア杯が終わってから。まずは目の前の戦いに集中し、ロス五輪世代でアジア・ナンバー1を獲るために戦う必要がある。今大会の得点はPKによる1点のみで、現状ではサブスタートがメイン。そうした立場も受け入れながら、結果を残していくことでしか成長はない。
「(福岡での)短期的な目標としては、試合に出てJ1初ゴールを奪うこと。試合に出るためにも、このアジアカップが自分の中では大事になる。良い流れで福岡の活動に参加したい」
運命の準決勝。韓国とはアンダーカテゴリーの公式戦で2度対戦している。特にU-17アジア杯決勝では、MF佐藤龍之介(FC東京)のアシストからゴールを決めており、イメージは悪くない。
「韓国キラーになりますよ」
そう言い残し、練習を終えて笑顔でグラウンドを去った男は自らの価値を証明すべく、準決勝のピッチに立つ。
取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
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