ホンダは、1月20日に都内で記者会見を開き、アストンマーティンF1とのパートナーシップを正式にスタートさせた。アストンマーティンからはオーナーのローレンス・ストロールとチーフ・ストラテジー・オフィサーのアンディ・コーウェル、F1のステファノ・ドメニカリCEOもこのイベントのために来日するという熱の入れようであった。
そのイベントでホンダは、2026年シーズンを戦うパワーユニット(PU)”RA626H”を公開。最新仕様ではないとはいえ、ライバルへの情報漏洩が気になるこの時期にPUの実機を披露するというのは前例がなく、並々ならぬ自信すら感じられる。
そのホンダPUプロジェクトを率いる角田哲史ラージ・プロジェクト・リーダー(LPL)が、PU開発の現状について語った。
「詳細はお伝えできませんが、PUも車体もレギュレーションが大きく変わりますので、2023年に再参戦することが決まってからは、早い段階から協議を続け、今年に向けて準備を進めてきました」
そう角田LPLは語る。
「アストンマーティンとの関係性は良いと思っています。最近もアストンマーティンのエンジニア、メカニックと共に、実車に近い状態でのテストもできたので、準備はそれなりに進んでいます」
ただ角田LPL曰く、電動部分についての開発については予定通りであるものの、エンジンに関してはそうではないとmotorsport.comに明かした。
「電動部分は予定通りに来ています。でもICE(内燃エンジン)については必ずしもそうではないという部分があります。でも結局、開発期間に依存するところでもあります。それも踏まえれば、我々としてはやれることを最大限にやってきたつもりです」
そのエンジンで言えば、ライバルメーカーが規定されている以上の圧縮比を実現する”抜け穴”を見つけたという噂が話題になっている。角田LPLは、RA626Hの技術的詳細について明言することは避けたものの、その抜け穴を見つけることも含めて「F1だ」との考え方を示した。
「F1はそれぞれの技術解釈の下で、自分たちがやれること、やれないことを判断し、それに対してFIAがOKかNGかを判断することになっています」
「ライバルが何をやっているか、私には分かりませんのでコメントできませんが、それも含めてF1の一部だと思っています」
「他者に対して差をつけるため、どうやったらアドバンテージを得られるのかを常に考えるのがF1だと思いますし、我々もそうやって仕事をしています」
なお2026年のF1用PUは、扱う電気エネルギー量が昨年までの約3倍と大きく増える。しかしバッテリーの容量は基本的には従来と同じまま。ただ扱い量が増えるため、このバッテリーも完全に新しいモノになっている。
「電動比率が大きくなったことが、今年のポイントのひとつですね」
「バッテリーの見た目はそれほど変わりません。でも、中身に関しては全く違うバッテリーを作りました。これによって、競争力にある程度は貢献してくれるんじゃないかと思います」
ホンダは電気自動車搭載用に全固体電池を開発し、HRC Sakuraの隣には、この全固体電池量産に向けた試験製造ラインが出来上がっている。今季のF1にもこの全固体電池が使われているのかと尋ねると、角田LPLはひと言こう答えた。
「今の時点ではそれはないです」

