1月20日に、2026年シーズンのF1に向けたパートナーシップ始動発表会を行なったアストンマーティンとホンダ。アストンマーティンのチーフ・ストラテジー・オフィサーを務めるアンディ・コーウェル、そしてホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長が新シーズンに向けた見通しや両者の協業について語った。
車両とパワーユニット(PU)に関するレギュレーションが大きく変わる2026年シーズン、アストンマーティンとホンダは共に新たな挑戦をスタートさせる。アストンにとっては待望のワークスPUを手にした形であり、ホンダとしても正式なF1復帰初年度を迎えることとなる。
渡辺社長は、2021年にF1から撤退したホンダの再参戦が「先進技術の蓄積」「人材育成」「ブランド強化」の3つを目的にしていると改めて説明。2022年にHRCが2026年に向けたF1パワーユニット製造者登録をした際には、親会社の本田技研工業から「それはF1再参戦とは別の話だ」と釘を刺されたと当時を振り返る渡辺社長だが、様々なF1チームからアプローチを受けたこともあり、2023年春に本田技研工業に対して再参戦を自ら提案したという。
「そこまでには非常に議論があり、『やめたばかりなのに、すぐに戻るのか』といった意見と、『F1なくしてホンダではない』といった意見がありました。ただ『やると決めたらやる』ということで、社内で意思統一されました」と渡辺社長は言う。
迎える2026年シーズンは、各チーム・メーカーにとってチャレンジングな1年になるのは間違いない。渡辺社長はまだライバルのパフォーマンスも目の当たりにしていないことから、「もしかすると苦労するかもしれない」とも語るが、長期的なタイトル獲得に向けて取り組んでいくと意気込んだ。
「我々HRCにとっては難しい目標を掲げて挑戦するのがDNAであり、それを最も体現しているのがモータースポーツ、F1です」
「当然、出るからには勝ちにこだわっていますが、2026年の規則は技術的な難易度が相当高いです。もしかすると苦労するかもしれません。そこは実走テスト前でライバルとの差も分かりませんから、テストを見てみないと分かりませんが、長期的にはタイトルを目指したいです」
「また、我々は単なるPUマニュファクチャラーとコンストラクターという関係から一段階上に行って、開発の方向性や課題を全て共有し、ひとつのチームを作り上げていきたいです」
アストンマーティン側も、“ファミリー”的な結束力には自信を持っている。イギリスのアストンマーティン、日本のホンダ、サウジアラビアのアラムコ(燃料サプライヤー)、アメリカのバルボリン(オイルサプライヤー)と、異なる大陸のパートナーとの協業の難しさについて問われたコーウェルは「そもそもF1が難しいんだ!」とおどけつつ、地理的な問題は一切ないと語った。
「こうした文脈でF1を語るとき、人々がどこに拠点を置いているかという地理的な問題は重要ではない。物事を実現させるのは、あくまで“勝ちたい”という強い意志なのだ」
「人は一緒に仕事をする中で互いを知り、性格や気質、ユーモアのセンスまで理解するようになる。そうすれば、チームミーティングも非常にうまく進められる。時には会議が少し冷たい雰囲気になることもあるから、3ヵ月に一度くらい対面で顔を合わせることで、人と人との絆を保つこともできる」
「ホンダ、アストンマーティン、アラムコ、バルボリンに共通しているのは、レースに勝ち、チャンピオンを獲るという絶対的な意志だ。とはいえ、我々は謙虚でなければならない。非常に強力なライバルたちと戦っているから時間がかかるかもしれないが、それでも我々は家族のように協力し合いながら仕事をしている」

