■80年代コメディの名手ZAZが手掛けたドラマからスタート!

『フライングハイ』(80)、『トップ・シークレット』(84)、『殺したい女』(86)などのコメディでヒットを連発し80年代に一世を風靡した“ZAZ”ことジム・エイブラハムズ、デヴィッド&ジェリー・ザッカー兄弟の3人が手掛ける「裸の銃を持つ男」シリーズ。
原作は、同じくZAZが手掛けた米テレビ局ABCのコメディドラマ「フライング・コップ 知能指数0分署」(82)。映画シリーズの主人公でもあるフランク・ドレビン刑事(ニールセン)が、真剣に事件の捜査に挑むものの、ドジをやり続けるという内容だ。
ギャグの密度が高かったこともあってか、ながら見する視聴者も多いテレビドラマという枠では視聴率は奮わず、わずか6回で打ち切りに。しかし、のちによりギャグに集中できる映画版『裸の銃を持つ男』として公開され、大ヒットを記録した。

コメディ初出演となった『フライングハイ』に続いての起用となったニールセンは、このフランク・ドレビン役での大成功によりコメディ俳優として魅力を開花。「加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ」の人気コーナー「THE DETECTIVE STORY(探偵物語)」などにも出演し、日本でも人気を博した。
■体を張ったギャグから下ネタまでくだらない笑いのつるべ打ち

ニールセンにとって思いがけぬ当たり役となったドレビン刑事の活躍を描く「裸の銃を持つ男」シリーズ。相棒のノードバーグ(O・J・シンプソン)が重傷を負ったことを機にヘロイン密輸事件の捜査を行う1988年の1作目『裸の銃を持つ男』。エネルギー政策をめぐる陰謀を追った『裸の銃を持つ男 PART2 1/2』(91)。そして主夫となったドレビンが職場復帰し、爆弾魔を捕まえるために刑務所で囮捜査を行う『裸の銃を持つ男 PART33 1/3 最後の侮辱』(94)と立て続けに3作が作られた。


その最大の特徴といえば、細かなギャグを機関銃のように繰りだし続けるものの劇中にツッコミ役が誰もいない…真面目な顔をしてナンセンスなことを淡々とやり続けるスタイルだろう。
1作目の冒頭でノードバーグが敵のアジトに押し入る際に、銃で撃たれまくった挙句、熱々のストーブに手をついたり、トラバサミに挟まれたり…と踏んだり蹴ったりの様子をテンポよく描いたスラップスティックな身体ギャグを筆頭に笑いの種類も多種多様だ。


ドレビンが比喩などを理解せず、言葉の意味をそのまま受け取った言動を取るような英語特有の言葉のダブルミーニングを活かしたジョークをはじめ、アッパーでくだらない下ネタなど、あらゆる種類のギャグをテンポよく放り込み、観客を笑わせてくる。
■そっくりさんから映画ネタまであらゆるパロディが満載!

そのなかでも印象的なのが、時事ネタからスポーツ、ポップカルチャーまであらゆるものを標的にしたパロディの数々。エリザベス女王やゴルバチョフ、ブッシュ(父)、アミンなど政治関係を中心としたそっくりさんが毎回登場することもシリーズのお決まりだ。
また『裸の銃を持つ男』という邦題が『007 黄金銃を持つ男』(74)をもじっていることや、シリーズナンバーがフェデリコ・フェリーニ監督の『8 1/2』(63)をもじって『2 1/2』や『33 1/3』となっているように、映画にまつわるネタも多数。

「007」シリーズや『アンタッチャブル』(87)、『ゴースト/ニューヨークの幻』(90)、『テルマ&ルイーズ』(91)、『大脱走』(63)、『E.T.』(82)、『サイコ』(60)、『カサブランカ』(42)…と枚挙しきれないほどの多くの名シーンを茶化しているので、未見の人はチェックしてほしい。
■オリジナルの魅力を継承しつつアップデートしたリブート版

そんなオリジナル版から約30年を経て、まさか現代に蘇るとは思いもしなかったリブート版。ニーソンがフランク・ドレビン・Jr.に扮したほか、オリジナル版のエド(ジョージ・ケネディ)の息子エド・ホッケン・Jr.をポール・ウォルター・ハウザーが演じるなど、二世の活躍を描く。

ロサンゼルス市警特捜隊に所属するドレビン・Jr.は、父譲りの型破りなスタイルで銀行強盗団を一人で制圧するが、それはある陰謀の目くらましで、謎のデバイスが金庫から盗まれていたことに気づく。その後フランクは小説家のベス・ダヴェンポート(パメラ・アンダーソン)と共に、事件の背後に巨大テック企業のCEOリチャード・ケイン(ダニー・ヒューストン)が関与していることを突き止めるが…。
監督を務めるのは、コメディグループ「ザ・ロンリー・アイランド」のメンバーとして活動するアキヴァ・シェイファー。音楽業界のドキュメンタリーやセレブ文化をパロった『俺たちポップスター』(16)など多くのコメディを手掛けてきた手腕を本作でも存分に発揮している。

ニーソンが主演というイメージを裏切ったキャスティングをはじめ、追跡対策として携帯を真っ二つにする“犯罪映画あるある”を茶化したタフガイギャグ、出オチ感満載の冒頭のコスプレ、不謹慎な残虐描写まで、次から次へとギャグを連発。また、言葉遊びやくだらなすぎる下ネタ、「ミッション:インポッシブル」シリーズのパロディまで、オリジナルをリスペクトしつつも現代らしい笑いにアップデートされているのも好印象だ。
すでに配信されている本作だが、今回発売となるソフト版には、NG集や受け継がれる笑いについての映像など特典満載。未見の人もすでに観た人も、フィジカルで手に入れておこう!
文/サンクレイオ翼
