日英版『福島とともに』に込められた思いと、世界への発信

学生たちの取材の積み重ねは、一つの形として「震災復興新聞」にまとめられました。新聞のタイトルは『福島とともに』。そして英語版では『Together with Fukushima』と名付けられています。
この新聞が日本語と英語の二つの言語で作られている点は、今回の取り組みを象徴しています。日本の中で伝えるだけでなく、海外の人にも届く言葉で福島の今を伝えたい。そうした意図が、紙面全体から感じ取れます。英語版では、単に日本語を置き換えるのではなく、背景を知らない読者にも伝わるよう表現や構成が工夫されています。
言葉を別の言語に置き換える際には、文化や前提の違いも意識する必要があります。日本では共有されている出来事や感覚も、海外では丁寧な説明がなければ伝わりません。学生たちは、どこまで説明し、どこを委ねるのかを考えながら、表現を組み立てていきました。その過程は、翻訳というよりも、もう一度伝え直す作業に近いものだったと言えます。
また、行政や企業の取り組みだけでなく、福島で暮らす人々の声や思いを大切にしている点も、この新聞の特徴です。学生自身が見て、聞いて、考えたことを、自分たちの言葉でまとめる。その姿勢があるからこそ、読み手にとっても「誰かの代弁」ではない、等身大の福島像として伝わってきます。
完成した新聞は、今後、海外の提携校での発表や教育の場でも活用される予定です。学生の学びが教室の外へ、そして国境を越えて広がっていく。その広がりを支える土台として、この新聞は大きな役割を担っています。
対話の場として開かれる座談会、その先に続くもの
今回の座談会は、震災復興新聞の完成を受けて開かれる場です。ただし、ここでの対話は「完成のお披露目」にとどまるものではありません。学生たちが福島で感じたこと、新聞に込めた思いを、福島県知事や関係者と共有し、言葉を交わすこと自体に意味があります。
座談会では、取材前に学生が抱いていた福島への印象や、現地での経験を通して生まれた気づき、そして新聞という形で何を伝えようとしたのかが語られる予定です。学生の視点と、福島県が歩んできた復興の道のりが重なり合うことで、福島の「今」を多角的に見つめ直す機会となります。
この取り組みは、イベント当日で完結するものではありません。学生が自らの言葉で社会と向き合い、発信していく姿勢は、今後の学びや活動へとつながっていきます。座談会は、その歩みの途中に設けられた、一つの節目と言えるでしょう。
