
山橋役の柄本時生さんプロフィール写真
【画像】え…っ! 「立派なお店」「2階なんだ」 コチラが『ばけばけ』山橋の洋食店の「モデル」です
想像以上に凄い山橋のモデル
2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』は、1890年に来日し、『知られぬ日本の面影』『怪談』などの名作文学を残した小泉八雲さん(パトリック・ラフカディオ・ハーン)と、彼を支え、「再話文学」の元ネタとなるさまざまな怪談を語った、妻・小泉セツさんがモデルの物語です。
第15週では、主人公「松野トキ(演:高石あかり)」の夫「レフカダ・ヘブン(演:トミー・バストウ)」が、山橋薬舗の店主「山橋才路(演:柄本時生)」に西洋料理を作ってもらっていたことが判明しました。彼の料理の腕前は、かなり高いようです。
第16週では、ヘブンが日本滞在記を書き終えた記念パーティーが開かれ、彼らが住む武家屋敷に山橋が出張してその場で洋食を振舞ってくれました。ひとりでデリバリーサービスまで対応している山橋の有能さには、ネットで驚きの声が出ています。
山橋薬舗の参考となった店は、江戸時代から現在まで松江で営業中の橘泉堂 山口卯兵衛商店(山口薬局)という店でした。当時、松江でビールを売っていたのはここだけで、ハーンさんはセツさんとは別の高木八百さん(セツさんの親戚)という女中に、よく買いに行かせていたそうです。
この山口薬局が、洋食店も兼ねていた……という訳ではありませんが、薬局の向かいには「魚才」という西洋料理店がありました。その店主は鎌田才治さんという料理人で、山橋才路のモデルのひとりとなっています。
実業家でもあった鎌田さんは明治20年頃、当時全国的に珍しかった缶詰業の商売で成功し、洋食業だけでなく氷を扱う商売もしていたそうです。『山陰道商工便覧』という書籍には、松江の大橋北詰にあった2階建の店舗の説明があり、それによると蒲田さんの店は1階で魚の加工販売をして、階段を登った2階で洋食屋を営んでいたことが分かります。ハーンさんがこの店に、こっそりとステーキを食べに行ったという逸話もあるそうです。
また、日本式の生活を望むも、食の好みだけは西洋人のままだったというハーンさんは、1891年11月から移住した熊本に、島根県出身の洋食の料理人を連れていっています。親友の松江中学教頭・西田千太郎さん(錦織友一のモデル)宛の手紙で、ハーンさんは「出雲料理人」を住み込みで雇ったと書いており、彼が熊本に来てくれたおかげで生活費はむしろ安く済んでいることを語っていました。当時の熊本は西洋化が進んでおり、ハーンさんが好む食材は松江よりも簡単に手に入ったそうです。
この料理人は鎌田さん以外の人物だと思われますが、『ばけばけ』では山橋が熊本までついてきてくれる、という展開もあるかもしれません。第20週から始まる「熊本編」では、「クマ(演:夏目透羽)」という女中が登場し「毎朝一家全員分のパンを焼く」と発表されていますが、パン以外を作ってくれる料理人も必要でしょう。
トキが洋食を作れるようになるのか、山橋が熊本に来てくれるのか、別の料理人を雇うのか、今後に注目です。
※高石あかりさんの「高」は正式には「はしごだか」
参考書籍:『八雲の妻 小泉セツの生涯』(著:長谷川洋二/潮出版社)、『ラフカディオ・ハーン 西田千太郎 往復書簡』(訳:常松正雄/八雲会)
